3点目の理由は、自民党が少数与党であるために「新総裁必ずしも新総理ならず」という厳しい現実に直面していることだ。すでに公明党との連立工作の不調により、本来、10月15日に予定されていた臨時国会の召集は10月21日に延期される見込みである。この間、総理大臣は石破茂氏のままの状態が続く。
高市氏が「総理になれない総裁」になってしまう可能性も
自民党総裁選の後に、「総総分離」(総理大臣と自民党総裁が別人である状態)が起きるのは毎度のことである。ただし過去最長は1991年、海部俊樹首相から宮澤喜一首相に代わったときの9日間である。今回はそれを大幅に上回ることになりそうだ。仮に10月21日にすんなり首班指名が決まったとしても、17日間の「総総分離」となる。
臨時国会の召集がさらに後ろにずれ込むと、10月26日からのASEAN関連会議(マレーシア)、10月31日からのAPEC首脳会議(韓国・慶州で開催)に新首相の出席が間に合うのか、という問題も生じかねない。いや、それ以上に、10月27日からはあのトランプ大統領が訪日する予定なのだ。
アメリカ市場でも株高は続いている。景気後退に入る前に利下げが始まった、ということでこちらは金融相場の様相を呈している。先日、著名なFedウォッチャーである鈴木敏之氏に教えてもらったのだが、最近のアメリカでは「TACOトレード」に対し、”Trump Always Chickens Out.”「トランプはいつも最後は腰砕けになる」という本来の意味ではなく、”Take Actions Complete Operations”「(トランプ流はハチャメチャに見えるけど)、ちゃんと成果を上げているじゃないか」というポジティブな評価が生じつつあるのだそうだ。
さて、日米2つのTACOトレードはいったいどこまで続くのか。個人的には、だんだん「高い位置」が怖く感じられるようになってきた昨今である……、と、ここで脱稿したのだが、10日の夕方になって「公明党の斉藤鉄夫代表が、自民党の高市総裁に連立離脱の方針を伝えた」の報が飛び込んできた。これは一大事。ひょっとすると高市氏は、「総理になれない総裁」になってしまうかもしれない。
机上の計算で恐縮だが、衆議院の議席数は立憲民主党(148)と日本維新の会(35)と公明党(24)と国民民主党(27)を合わせると、234になって過半数(233)を超えてしまうのだ。もし4党の議員が一斉に「玉木」と書けば、玉木雄一郎首相が誕生することになる。
10日の日経平均は、4万8000円ギリギリで踏みとどまったが、この週末の動き次第で来週(14日以降)は大いに荒れそうだ(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら