市場が喝采する「日本版TACO」が始まったと思ったら短期間で終了?「高市トレード」はいつまで続くのか

✎ 1〜 ✎ 289 ✎ 290 ✎ 291 ✎ 292
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

問題はこの「高市トレード」(日本版「TACOトレード」と言うべきか?)の賞味期限である。筆者はあまり楽観できないと思っている。理由は以下の3点だ。

「TACOトレード」が楽観できない3つの理由とは?

まず、日経平均は9月だけで約5%も上昇している。これは政治情勢とは無関係に、企業収益の改善やガバナンスの向上を期待する買いだった。そこへ「高市新総裁誕生」により、今度は積極財政や成長戦略という期待が上乗せされたが、実体経済が変わるのはかなり先のことになる。期待だけで上値が続くことは考えにくい。

2番目に、1年前とは大きく状況が変わっている。昨年の自民党総裁選が行われたときには長期金利は1%未満、為替も1ドル=140円台前半だった。あの時点で、1年後の長期金利が、今のような1.6%台に上昇すると予想していた人はほとんどいなかったはずである。ここから先の「アベノミクス2.0」はリスクが高いのではないか。「株高、円安、債券安」の流れがいつまでも続くことは想定しにくい。

下手をすれば財政悪化懸念から、日本版「トラス・モーメント」の可能性だってある。2022年9月、英国で3人目の女性首相に就任したリズ・トラス氏は、就任早々、性急な減税策を打ち出した。ところが英国債と通貨ポンドの暴落を招いてしまい、わずか2カ月足らずで首相の座を降りることとなった。口さがない英大衆紙は、「トラスとレタス、賞味期限ではレタスの勝ち!」などと報じたものだ。

どうせなら高市氏は、ちょうど同じ時期にイタリア初の女性首相に就任したジョルジャ・メローニさんのような長期政権を目指すべきであろう。こちらは過激な主張は「言うだけ」にとどめて、現実的な政策を採りつつ、今ではアメリカのドナルド・トランプ大統領ともEUとも好関係を維持している。目指すべきはトラスよりも「アジアのメローニ」であろう。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事