彼は故郷に近い「サント・ヴィクトワール山」という岩山を多くモチーフとして描いたが、その山を間近に仰ぐその名も「サント・ヴィクトワール・サービスエリア」で、彼の代表作が惜しげもなく飾られていたのである。
といっても本物ではなく、コピーが駐車場から建物へのアプローチやレストランの天井から吊り下げられたパネルなどに施されているのであるが、一人の画家をこうしてショーアップするサービスエリアを見たのは初めて。その力の入れ具合、あるいは「郷土愛」に驚いた。

ガソリン価格は日本の約2倍
筆者は海外でガソリンを入れるとき、サービスエリアのガソリンスタンドを使うことが多い。それが最も確実だからだ。
フランスで目新しかったのは、走行中の高速道路のところどころに、この先5カ所ほどのエリアのガソリン価格が表示されていて、比較できるようになっていたこと。利用者は、価格を比べてどこでガソリンを入れるかを選べるのである。

ガソリン価格は、日本のレギュラーガソリンに相当する「SP95-E10」という油種で1リットルあたり1.7ユーロから1.9ユーロ。円換算で300円オーバーと日本の2倍近くもするので、かなり高く感じる。
ヨーロッパでハイブリッド車や電気自動車が普及する背景には、このガソリンの価格もあるのかもしれない。

ちなみに、今回の旅で体感したフランスの物価は、地域や商品によって差はあるものの、ガソリンと同じくおおむね日本の1.5倍から2倍くらい。
サービスエリアなどで売られる500mLのペットボトルは2.5~3ユーロ(500円前後)、スーパーで見かけた鮭のおにぎりは600円ほどと、どちらも円換算すると購入をためらう値段であった。
また観光施設の入場料も、ルーブル美術館が大人1人22ユーロ(約4000円)、ロワール渓谷で1、2の人気を争うシャンボール城が19ユーロ(約3500円)となかなかの高値である。

相対的に安くなった日本の物価はすでに常識になりつつあるが、あらためて彼我の経済格差を感じざるをえない旅でもあった。
それでもフランスのサービスエリアは、さまざまな点で充実しており、現地を自身で運転する機会があれば、ぜひ体験してみてほしいと思う。
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