【4000万円スタートの超高級車を売るためのブランド戦略】唯一無二の顧客体験がラグジュアリーブランド「ロールス・ロイス」成功の秘訣

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「ブラックバッジは、それまでロールス・ロイス車と縁のなかった層にアピールしました。ロールス・ロイスのイメージをいい方向に覆すモデルで、平均年齢引き下げに成功しました」

ファッションブランドの中には、ポップなキャラクターのイメージを援用したり、積極的に若年層の好みに寄せた製品を手がけたりするところもある。ロールス・ロイスには、オーナーの若返りのための施策を、ブラックバッジ以外にも展開していく計画があるだろうか。たとえば、上記のファッションブランドのやり方にならって?

ロールス・ロイスのブランド戦略について語るクリス・ブラウンリッジCEO
ロールス・ロイスのブランド戦略について語るクリス・ブラウンリッジCEO(写真:三木 宏章)

しかし……、ブラウンリッジCEOはそれにやや否定的だ。「平均的、というのは年齢層であって、ユーザーそのものを意味しません」という。

「ロールス・ロイスには”平均的な”あるいは”典型的な”顧客というのは存在しません。私はCEOの職に就いてから、これまで2年かけて世界各地をまわって、顧客と接してきました。それでわかったことがあります」という。「ロールス・ロイスの顧客は、いい意味で、個性的です。各人が独自の考えでもって、既存のロールス・ロイスのイメージを”破壊”しています」。

イメージの破壊とは

ロールス・ロイスのクロスオーバーSUVとなるブラック・バッジ・カリナン・シリーズⅡ
ロールス・ロイスのクロスオーバーSUVとなるブラック・バッジ・カリナン・シリーズⅡ(写真:ロールス・ロイス・モーター・カーズ)

どうやってという質問に対して、顧客窓口の存在が重要になります、とブラウンリッジCEOは答える。

「私たちはクルマだけを販売しているのではないのです。私たちが販売しているのは”経験”です」

ショールームに入っていき、白い車体に黒の内装のカリナンが売っていたら、それをすぐ買うのが、ロールス・ロイスのオーナーの楽しみではない、という。続けて、「数あるオプションを、車体の内外装の仕上げとともに吟味して、自分にぴったり合うモデルに仕立てる。それを好むのが、ロールス・ロイスのオーナーです」と、具体的に説明する。

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