【4000万円スタートの超高級車を売るためのブランド戦略】唯一無二の顧客体験がラグジュアリーブランド「ロールス・ロイス」成功の秘訣

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ロールス・ロイスでもっともパワフルなモデルとなるBEVの「ブラック・ブラック・バッジ・スペクター」
ロールス・ロイスでもっともパワフルなモデルとなるBEVの「ブラック・バッジ・スペクター」(写真:ロールス・ロイス・モーター・カーズ)

その問いに対して、「BEVのスペクターは開発にかなりの努力を要したようです。でも結果は、市場から歓迎されました。エフォートレスというロールス・ロイス車のコンセプトにたがわない出来映えです」。

パワートレインに関係なく、“無理なく、かつ優雅に”といった意味と解釈できる「エフォートレス」に代表されるクルマづくりのコンセプトを守ることが、ロールス・ロイスにとって重要だという。

さらに「私たちは今後も、12気筒とバッテリー、どちらも世界最高のクルマづくりを目指します。市場が求めているものを最高のかたちで提供するのが、私たちの使命なのです」と、BEVだけではなく、純粋な内燃機関のICE(インターナル・コンバッション・エンジン:従来の内燃機関)も継続すると続けた。

ロールス・ロイスの顧客層

ロールス・ロイス・モーター・カーズ 大阪のオープニングに先立ち、東京丸の内でインタビューに答えるクリス・ブラウンリッジCEO
ロールス・ロイス・モーター・カーズ大阪のオープニングに先立ち、東京丸の内のホテルでインタビューに答えるクリス・ブラウンリッジCEO(写真:三木 宏章)

そこにあって、ロールス・ロイス・モーター・カーズは、市場をどのように作っていくつもりだろう。維持するのか、変えていくのか。

この20年間、世界中の高級ブランドは、顧客の若返りに努めてきた。自動車も例外でない。顧客の高齢化とともにブランドバリューが喪失するのを回避し、同時に、市場を拡大することにもつながるからだ。ロールス・ロイスも顧客の若返りに成功しているブランドだ。とくに先述のカリナン発売が奏功しており、一部の新興市場では20代と30代の購入者が多いと聞く。

「たしかに、ロールス・ロイスのオーナーの平均年齢は若返っています。理由のひとつは、2016年に”ブラックバッジ”を導入し、自分たちでブランドのバリューに変化を加えたことです」

「ブラック・ブラック・バッジ・スペクター」「ブラック・バッジ・ゴースト・シリーズⅡ」「ブラック・バッジ・カリナン・シリーズⅡ」の3台
「ブラック・バッジ・スペクター」「ブラック・バッジ・ゴースト・シリーズⅡ」「ブラック・バッジ・カリナン・シリーズⅡ」の3台(写真:ロールス・ロイス・モーター・カーズ)

今のラインナップでは、2024年の「カリナン・シリーズⅡ」、同年の「ゴースト・シリーズⅡ」、そして2025年の「スペクター」。これらのモデルが、ブラックバッジというサブブランドの下に設定されている。向上したパワー、スポーティに仕立てられた足まわり、それにクロームでなくブラックをアクセントにした内外装など、ブラックバッジならではの特徴は多い。

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