「日本一美しい…」人気高まる国鉄倉吉線の廃線跡 観光資源として再評価、鉄道路線として復活も?
倉吉市中心部には市役所などの行政機関に加え、白壁土蔵群や打吹回廊など観光名所が集中しており、今春には県立美術館が開館し、来訪者の増加が見込まれたため、パークアンドライドを含めた観光駐車場の整備に注力してきた。こうしたエリアへの公共交通アクセスが向上すれば、地域経済への波及効果は大きく、宿泊、飲食、土産物販売など多方面での消費拡大が見込まれる。
さらに、特急「スーパーはくと」の延伸運行も行えば、山陰と関西を直結する交通ネットワークは一段と便利になる。市街地に鉄道が直結すれば、観光のみならずビジネスや交流人口の増加にもつながるだろう。
移動体験が観光資源に
全国には、廃線跡を一部復活させた実例が存在する。広島県の可部線では、2003年に可部駅から三段峡駅間が廃止されたが、地域の強い要望により2017年、可部駅からあき亀山駅間の1.6km区間が延伸復活を果たした。事業者、住民、行政が一体となれば、廃止区間でも復活は可能であることを示す好事例である。
また、福岡県の平成筑豊鉄道・門司港レトロ観光線は、休止貨物線を活用して特定目的鉄道として運行している。観光地である門司港レトロ地区と、関門海峡に近い和布刈地区の約2kmを結び、徒歩ではやや距離がある両地区間を観光列車が走ることで、移動が楽しくスムーズなものになった。鉄道を単なる移動手段ではなく、「移動そのものを観光資源」と位置付けている点は、大きな魅力である。
廃線跡の一部区間復活にあたり、廃線から40年が経過しているため、用地が残っていないのではないかとの懸念が生じるかもしれない。確かに橋梁など一部の設備はすでに撤去されているところもあるが、現役当時の用地は大半が残っていることから、復活は決して不可能ではないと考えられる。
国鉄倉吉線は、かつて地域住民の暮らしを支えた生活路線だった。その廃線跡が、今では観光地として再評価され、多くの人を惹きつける存在となっている。
だが、ここで満足するのではなく、さらに一歩進めて、国鉄倉吉線が再び人々を運ぶ鉄路として息を吹き返すことが本来あるべき鉄道の姿ではないだろうか。
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