「日本一美しい…」人気高まる国鉄倉吉線の廃線跡 観光資源として再評価、鉄道路線として復活も?

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廃止後の約20年間、沿線では廃線跡を観光資源として活用する動きはほとんど見られず、線路や駅の多くはそのままの状態であった。しかし、2005年に関金町が倉吉市に吸収合併されたことをきっかけに関金地域の再生が観光振興における重要課題の1つとして浮上した。この課題に対しては、市が主体となり地域住民の協力を得ながら、関金地域ならではの体験型観光商品の開発を進めることにした。その過程で、地域に埋もれていた観光資源として廃線跡が注目された。

廃線跡がきれいに残っている(写真:寺阪利紗子)

こうして2007年、倉吉市関金町松河原から今西までの区間に残っていた廃線跡を市が主体となり、市予算を活用して「廃線跡トレッキングコース」として造成した。造成後は倉吉観光MICE協会(旧・倉吉市観光協会)が主体となってトレッキングツアーの運営を行い、現在に至っている。

テレビの紹介で話題に

この廃線跡が全国的に知られるきっかけとなったのは、2019年にフジテレビの番組『世界の何だコレ!?ミステリー』で俳優の六角精児氏が訪れ、「日本一美しい廃線跡」と紹介したことだった。放送後の同年秋ごろから急速に訪問者が増加したという。

さらに2022年には、NHK BSプレミアム『六角精児の呑み鉄本線・日本旅』において再び特集が組まれ、廃線跡の知名度は一層高まり、鉄道ファンのみならず一般の観光客にも広く注目される存在となった。

そのため、インスタ映えする写真を撮影しに来る人や、カップルで訪れる人も目立つという。中には、廃線跡でウェディングフォトを撮影するカップルもいるようだ。

インスタグラムで廃線跡のことを知り、訪れた関東在住の寺阪利紗子さんは「ゆっくり散策を楽しめ、竹林の中に残る廃線跡がきれいで良い写真が撮れた」と話す。

訪問者数については、倉吉市によるとおおむね年間1万人程度を推移しており、直近では2024年度が約9000人、2023年度が約8600人、2022年度が約1万2000人となっているとのことだ。

しかし、訪問者の増加に伴い、来訪者用の駐車場不足やトイレ環境がよくないことなど、訪問者の周遊滞在の促進に課題が浮上し、倉吉市は廃線跡の観光整備を本格化させはじめた。具体的には、観光案内所やトイレ、ルート案内や注意喚起を行う案内板の設置、駐車場整備などを進めるとともに、ゴールデンウィークなどの繁忙期には臨時シャトルバスの運行も行うことにした。

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