一歩間違えば"短命政権"に終わる可能性も… 高市政権を待ち受ける「地雷だらけ政局」の正体

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例えば、大阪府内は昨年の衆院選で維新が19選挙区すべてで勝利。自民党は15選挙区、公明党は4選挙区で、それぞれ敗れている。自公連立に維新が加わる場合、自公維3党間の候補者をどうするのか、難しい調整作業となる。

維新と国民
日本維新の会の吉村洋文代表(左)と国民民主党の玉木雄一郎代表(右)。どちらと組むにしても難しい選択を迫られる(撮影:左写真・ヒラオカスタジオ、右写真・梅谷秀司)

自民党が連立相手として想定している国民民主党も、次の衆院選(小選挙区289)で50人程度の当選を目指しており、自公両党との候補者調整は難航必至だ。連立拡大の話し合いが10月15日召集の臨時国会に間に合わないなら、自公は少数与党のままで、不安定な政権運営が続く。

物価高&格差是正の対策には課題山積

政策課題はどうか。2024年の衆院選と今年の参院選で自民党が大敗した原因は明らかだ。物価高が続き、実質賃金が伸びない。多額の金融資産を持つ富裕層と、非正規やパートで働く人々との格差は拡大するばかりだ。

一方で、自民党旧派閥の裏金問題に関しては真相解明や責任追及が進まず、関係議員への課税もうやむやなままだ。そうした自民党政治に有権者が「ノー」を突き付けたのである。

参院選の公約で自民党は、国民1人当たり2万円の給付金を配ることを盛り込んだが、有権者には「選挙目当てのバラマキ」と映った。野党が打ち出した消費税減税などのほうが支持を集めたことは、各種の世論調査で明らかになっている。

こうした経緯を踏まえて、高市政権は当面、ガソリンの暫定税率廃止で野党との合意をまとめ、年内にはガソリン価格の引き下げを実現したい方針だ。その後は、立憲民主党が唱えている給付付き税額控除の検討を急ぐ。

例えば、1人当たり15万円の所得減税を実施する場合、納税額が年間10万円の人は10万円分を減税し、さらに5万円を給付する。所得税を払っていない層には、15万円全額を給付するという仕組みだ。この制度が動き出せば、低所得者層に手厚い給付・減税が実施できることになる。

給付・減税の財源はどうするのか。税収の上振れ分を充てるのでは「恒久財源」にはならない。そこで浮上しているのが、富裕層増税だ。

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