結果を左右した"キングメーカー"の対照的な動き、「初の女性総裁」高市氏《まさかの劇的勝利》はなぜ実現したのか

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早期の策定と国会への提出が必要な2025年度補正予算案に、ガソリン暫定税率の廃止を盛り込むか否かなど、与野党協議は難航必至。そのため、高市新首相は出だしから厳しい政権運営を迫られそうだ。

高市氏の保守的な政治的立ち位置について、野党側が反発することは想像にかたくない。「補正予算案の処理などをめぐる今後の与野党協議は難航しそうだ」(閣僚経験者)という不安の声は絶えない。

初の女性首相に対して国民の期待が高まることで、なんとか臨時国会を乗り切っても、来年1月召集の通常国会における2026年度予算案をめぐる与野党の攻防が、衆院解散の可能性も含めて高市政権の命運を左右することになりそうだ。

日米首脳会談で問われる外交力

高市あいさつ
笑顔であいさつする高市氏。しかし、この先は難しい政治判断を迫られる場面が続出しそうだ(写真:ブルームバーグ)

さらに、10月最終週からは新政権にとって極めて重要な外交日程が相次ぐ。まず、26日からマレーシアでASEAN(東南アジア諸国連合)首脳会議が3日間の日程で開催され、それに合わせる形でアメリカのドナルド・トランプ大統領が27日から3日間の日程で来日する予定。さらに31日から11月1日まで韓国・慶州でAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議が開催される。

新首相にとって「いきなりぶっつけ本番での首脳外交で、とくに日米首脳会談でトランプ氏とどう渡り合うかで、外交力が厳しく問われる」(自民党長老)ことになる。加えて、APECには中国首脳の出席も見込まれるだけに、一連の首脳外交での新首相の対応が、国際社会での日本外交への評価につながることは必至だ。

さらに、12月中旬までの会期となる予定の臨時国会では、物価高対策のための補正予算案の早期処理や、これと連動するガソリン減税の扱いに関して、野党との連携が不可欠となる。自民党新執行部の手腕が問われることになる。

この一連の与野党協議の展開次第では、臨時国会の会期末に野党が内閣不信任案を提出する可能性も含め、政局が緊迫する事態も想定される。新政権にとって「窮地の連続で、出たとこ勝負で臨むしかない」(自民党の国会対策関係者)との声が広がる。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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