「日テレの報道はやらせだ」「高市潰しの印象操作」と炎上…《外国人による奈良公園のシカ暴行》をめぐる"不毛な論争"がくり返されるワケ

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そもそも、奈良公園のシカの死亡要因として最も高いのが、交通事故、疾病である。シカを保護したいのであれば、交通事故の防止と疾病対策の強化を図ったほうが有効ではないだろうか?

先日世間を騒がせた、国際協力機構(JICA)の「アフリカホームタウン」に対する反発もそうなのだが、批判の根底にあるのが一部の日本人による排外意識だ。排外意識が払拭されない限り、彼らの考えが覆ることはない。

ファクトチェックを行い、事実関係が提示されたところで、彼らはそれを反証する別の“事実”を探すだろう。その“事実”の真偽を確認し、“偽”であることが検証されたところで、それを認めるとは限らない。また別の“事実”を探してこられると、無限ループに陥るだけだ。

総裁選は日本の未来を暗示している

この事態は、高市氏の“失言”をメディアが拾って批判したことで議論が沸騰したものだ。高市氏自身が早い段階でこの発言を撤回していれば、メディア報道も収束し、ここまで大きな議論は巻き起こらなかったのではないかと思う。

そもそも、日本の指導者を決める自民党総裁選を前にして、「外国人のシカの虐待があったか、なかったか」が論点になっている状況は滑稽に思える。まさに馬鹿げた状況ではないか。

念のために言っておくが、筆者は高市氏をおとしめる意図はまったくない。小泉進次郎氏の「ステマ問題」に関しても別の記事で批判しているし、テレビ番組でも問題を指摘している。

今回の自民党総裁選は、SNS時代の世論操作、世論誘導、あるいはメディア報道報道について考えさせられる事案が多かった。

真偽不明な情報や印象に流されて間違った指導者を選ばないよう、今回の件からしっかり学んでおきたいものだ。

西山 守 マーケティングコンサルタント、桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授

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にしやま まもる / Mamoru Nishiyama

1971年、鳥取県生まれ。大手広告会社に19年勤務。その後、マーケティングコンサルタントとして独立。2021年4月より桜美林大学ビジネスマネジメント学群准教授に就任。「東洋経済オンラインアワード2023」ニューウェーブ賞受賞。テレビ出演、メディア取材多数。著書に単著『話題を生み出す「しくみ」のつくり方』(宣伝会議)、共著『炎上に負けないクチコミ活用マーケティング』(彩流社)などがある。

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