「日テレの報道はやらせだ」「高市潰しの印象操作」と炎上…《外国人による奈良公園のシカ暴行》をめぐる"不毛な論争"がくり返されるワケ

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そこに、「news every.」の新たな“燃料”が投入されたと――いうのが、現在に至るまでの経緯である。

筆者が見る限り「外国人によるシカ虐待」の議論は不毛なものに終わっているようにみえる。さらに、この議論が白熱することで、高市氏をさらに不利な状況に追い込んでいるようにもみえる。

存在しないことの証明、ある事象がなかったことの証明は「悪魔の証明」と呼ばれ、きわめて難しいことで知られている。

ファクトチェックを試みたメディアが「外国人によるシカの虐待は確認できなかった」としたところで、「なかったことの証明」にはなっていない。

逆にその報道が「あったことを探す」という別の「ファクトチェック」の動きを誘発してしまっている。

実際、前述の須田氏の元には「証拠写真」が届いているのだが、その写真が外国人によるシカの虐待行為なのかどうかはよくわからない。須田氏の発言を見ても「これが外国人による虐待行為の証明だ」とまでは言っていない。

へずまりゅう
鹿の保護活動や外国人問題に取り組む姿勢をアピールし、奈良市議に当選した元迷惑系YouTuberのへずまりゅう氏。今回の件でも、連日、投稿を行っている(写真:本人の公式Xより)

問題があったかどうかよりも重要な点

筆者はここ10年の間に2回、奈良公園に行っているが、シカに対する暴力行為は一度も目にしたことはない。ただ、シカと人間が直接触れ合うことができる環境にあることから、ちょっとしたトラブルを目にすることは何度かあった。

一番記憶に残っているのが、野生のシカが筆者の前を歩いていた日本人観光客のバッグに口を突っ込んで、ビニール袋に入っているバナナを食べはじめたことだ。観光客は最初は抵抗していたが、途中であきらめた。ただ、シカはビニール袋ごとバナナを食べてしまった。

筆者はその光景を見ていただけだったが、たとえば、その光景を写真に収め「こういうことがあったので皆さんも気を付けましょう」とSNSに投稿したらどうなっただろう? 筆者の投稿が勝手に使われ、「外国人がシカにビニール袋を食べさせていた」みたいな文脈で拡散されてしまった可能性もありうる。

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