社債市場の透明化問題、新制度でもなお課題 取引情報公表制度の浸透には時間

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 11月2日、株式のような公の取引所がない社債流通市場について、約定単価などを公表する新しい報告制度が始まった。写真は、取引中のトレーダー、9月撮影(2015年 ロイター/Paulo Whitaker)

[東京 2日 ロイター] - 株式のような公の取引所がない社債流通市場について、約定単価などを公表する新しい報告制度が始まった。

実態が見えにくい相対取引を透明化し、市場活性化につなげたいと推進役の日本証券業協会などは期待する。しかし、公表銘柄が一部に限られることなどから、「新制度を意識している新発債の関係者はほとんどいない」(国内証券)といった指摘も多く、新制度が市場で存在感を発揮するには、しばらく時間がかかりそうだ。

流通実態をより正確に提供

新制度は今月2日にスタートし、4日から情報提供が始まる。証券会社と証券保管振替機構(ほふり)から社債の売買報告を受け、日証協が、まず流動性が比較的高いと見込まれる銘柄を対象に情報を公表する。社債の売買では約8割がほふりを通じて約定の照合をしており、ほふりはこの照合のデータを報告する。

米国では約3万銘柄についてリアルタイムで取引情報が公表されているが、日本の社債流通市場は相対で取引されるため、実勢価格は当事者以外にはわかりにくい。日証協は売買参考統計値(売参値)を提供してきたが、売参値はあくまで証券会社が自己申告した数値であり、「本当の水準を提示しているのか分からない」(投資家)と以前から信頼性に対して疑問が投げかけられていた。

日証協では2009月7月に「社債市場の活性化に関する懇談会」(座長:福井俊彦キヤノングローバル戦略研究所理事長)を設置して市場改善策を検討。「流通市場の透明性を高める情報インフラが必要」とする識者の合意を踏まえ、昨年3月に新制度の導入を決めた。

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