ハリポタの魔法効いた?西武HD「株価急騰」の秘密 「スタジオツアー」の開業後3倍に、鉄道他社を圧倒

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「エースホテルの独自の文化・カルチャーを尊重している。エースホテルを日本発というカテゴリーに加えるつもりはない」(後藤CEO)。エースホテルがプリンスホテルグループの一員であることを示すような名称変更もしない。「エースホテルはエースホテルのままで展開する」(金田社長)。

もし将来、世界250ホテル体制が実現したとしても、世界中で8000〜9000軒ものホテル・リゾート施設を有するマリオットやヒルトンといった大手には規模ではかなわない。しかし、後藤CEOは「量的な拡大を指向するものではない」と言い切った。「ペニンシュラやマンダリンオリエンタルなどアジア発のグローバルホテルチェーンが欧米にも展開し、それぞれのアイデンティティをしっかりと提供して競争上の優位性を確保している。我々もおもてなし、ホスピタリティを強みとした日本オリジンで展開していきたい」。

株価維持の「魔法」はないが…

株価に話を戻す。西武HDの5465円という株価がどれだけすごいのか。株価が1株あたり純利益の何倍まで買われているかを示すPER(株価収益率)という指標がある。2025年度の1株あたり予想純利益で見た場合、西武HDのPERは55.1倍となる。これはJR東日本の18.5倍、東急の13.5倍な小田急電鉄の16.9倍など鉄道他社をはるかに上回る数字だ。

一般的にはPERが低いほど株価は割安、高いほど割高であることを意味するが、投資家が将来利益を現在よりも高くなると予想して、その将来利益を使って計算すればPERは下がる。つまり西武HDの株価が高いのは投資家が西武HDの利益成長に期待していることの表れなのだ。具体的には不動産の保有を続けるのではなく一部資産を流動化して再投資するという事業モデルが現在よりも高い利益を生むと評価されており、ホテル事業も世界で飛躍することで高い利益を生むことができるはずだと投資家は考えている。

逆にいうと、投資家の期待に応えられないと現在の株価水準を維持できなくなる。従って、西武HDは利益成長に資する施策を絶え間なく出し続ける必要がある。株価を上げるような魔法があればよいが、現実世界はそんなに甘くはない。

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大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げ。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に定年退職後の現在は鉄道業界を中心に社内外の媒体で執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京交通短期大学特別教養講座講師。休日は東京都観光ボランティアとしても活動。

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