ハリポタの魔法効いた?西武HD「株価急騰」の秘密 「スタジオツアー」の開業後3倍に、鉄道他社を圧倒

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株価急騰の理由はいくつかある。まず、2023年5月11日に発表された2022年度決算である。コロナ禍による営業赤字を脱し、続く2023年度も増益予想であることが示された。決算と同時に中期経営計画の進捗状況も発表され、不動産事業は保有中心のビジネスモデルから脱却し、不動産を売却して得た資金でさらなる不動産開発を行うという回転型モデルへの転換が順調に進んでいることが示された。

11月9日には2023年度第2四半期決算が発表された。第2四半期の営業利益は期初予想を大きく上回る318億円となり、通期予想の360億円を半年でほぼ達成してしまった。

2024年5月9日には新たな中期経営計画と2035年を見据えた長期戦略を発表し、不動産事業を核として持続的な成長を図る戦略を打ち出した。品川・高輪・芝公園・高田馬場などの再開発によるポテンシャルは以前から知られていたが、本社機能が入居する池袋のオフィスビルの流動化を表明したことも「聖域なき流動化」として市場から評価された。

ホテル事業強化へ新たな展開

プリンスホテルを中核とするホテル・レジャー事業については「日本をオリジンとしたグローバルホテルチェーン」を標榜し、2035年までに国内100と海外150、合わせて世界250ホテル体制を展開する事業成長を目指す。そして、鉄道を中核とする都市交通・沿線事業の役割は「安定的なキャッシュフローの創出」とされた。鉄道は成長エンジンではなく、経営の下支え役となった。

この年の12月12日には不動産事業の旗艦ビルである東京ガーデンテラス紀尾井町を約4000億円で売却し、売却で得た資金をさらなる成長投資や財務体質改善に向けた債務返済、および自己株取得や増配といった株主還元に充当すると発表した。

2025年5月14日には決算発表と合わせて、中期経営計画の進捗状況を発表した。2024年9月に所沢駅近くに開業したばかりの大規模複合施設を流動化することも表明した。こうした一連の取り組みが現在の株高につながっているといえる。

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