リスボン観光の象徴「ケーブルカー事故」なぜ起きた 滞在時に見た現場、オーバーツーリズムが遠因?

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ヨーロッパ各国からの観光客が多いのには、ポルトガルはユーロ圏では比較的物価が安いという理由がある。かつてはドイツならマルク、ポルトガルはエスクードと通貨が異なり、ドイツからポルトガルへは明らかな海外旅行だった。ところが現在はパスポートチェックすらない。ヨーロッパ内は国内旅行の感覚で気軽に移動できる。

アメリカ・カナダからの観光客も多い。日本からだとポルトガルはヨーロッパの果てになるが、逆に北米から見ると最も近いヨーロッパになる。大西洋便というとそれなりの長距離便に感じるが、近年はナローボディ機(通路が1列の機体)ながら航続距離の長い機体が開発されたので、運航経費が安くなり、アメリカからポルトガルなど、比較的距離の近い大西洋便は多くの便が飛ぶようになった。

【現地の写真】リスボン観光の象徴「ケーブルカー事故」はなぜ起きた?事故翌日の現場の様子。事故が起きたグロリア線の麓側の終点にはたくさんの献花が

筆者が乗車中にも何度も急ブレーキがかかった

旧市街の道は狭く、車道はない。そこを車、路線バス、小柄な屋根なし観光バス、さらに観光用のトゥクトゥクのような乗り物が駆け回っている。トラムの乗客は窓からスマホを出して動画などを撮影している。加えてそもそも路面電車としてはかなりの急坂である。筆者が乗車中にも何度も急ブレーキがかかった。

おそらく、事故を起こしたケーブルカーも同じような状況で、満員状態で何度も急ブレーキを使っているうちに、ケーブルの劣化が進み、それが事故の遠因になったのではないかと筆者は推測する。酷使しているものは、早め早めの点検・補修が欠かせないのではないだろうか。

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谷川 一巳 交通ライター

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たにがわ ひとみ / Hitomi Tanigawa

1958年横浜市生まれ。日本大学卒業。旅行会社勤務を経てフリーライターに。雑誌、書籍で世界の公共交通機関や旅行に関して執筆する。国鉄時代に日本の私鉄を含む鉄道すべてに乗車。また、利用した海外の鉄道は40カ国以上の路線に及ぶ。おもな著書に『割引切符でめぐるローカル線の旅』『鉄道で楽しむアジアの旅』『ニッポン 鉄道の旅68選』(以上、平凡社新書)などがある。

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