中国人の海外旅行、今や「日本が一番人気」の真実。《4人に1人が一人旅》イマドキの中国人旅行者が日本に求めているものとは?
旅行スタイルも激変した。2015年は団体ツアーの比率が42.9%だったが、2025年4~6月は11%に下がり、9割近くが個人旅行だった。
10年前は家族・親族と来ている人が全体の3分の1を占めていたが、2025年4~6月は友達との旅行が最も多かった。2015年に16.9%だった一人旅は2025年に26.9%に拡大した。

日本への旅行は一昔前に比べてカジュアル化している。その背景には複数回訪日可能なマルチビザの普及がある。
オンライン旅行サービスの携程(シートリップ)によると、2024年1~7月、中国人の訪日観光ビザの申請取得件数のうち、個人旅行を想定した3年・5年のマルチビザが48.41%を占め、2019年の19.75%から大幅に上昇した。
個人のリピーターが旅行者の主力になったことで地方への関心も高まっている。
中国最大規模の旅行情報メディア「馬蜂窩」によると、今年5月の労働節連休前は香川県の栗林公園、和歌山県・三重県の熊野古道、鹿児島県の屋久島、青森県の奥入瀬渓流の情報へのアクセスが増えた。
エアビーアンドビーの国慶節旅行先検索ランキングでは東京、大阪、京都が例年通り上位を占める一方、福岡の検索数が3倍以上に増えた。福岡の食文化に関心が持たれているという。また、東京から近い伊豆半島も自然やレジャーリゾート体験が評価され検索数が倍増した。
Z世代は弾丸旅行がトレンド
オンライン予約サイトのブッキングドットコム(Booking.com)が先日公表した「2025年中国人海外旅行トレンド調査」でも、日本の人気ぶりが明らかになった。
過去2年以内に個人で海外を旅行した中国都市部の1200人を対象にした同調査では、36%が過去1年内に日本を旅行したと回答し、タイ(41%)に次いで2番目に多かった。タイは今年初めに中国人の誘拐事件が発覚したことから旅行先として避けられるようになり、日本の人気が高まる遠因にもなった。
同調査によると、海外旅行の目的は「リラックス」が57%と過半数を占めた。目的地の選択に影響を与える要素としては「グルメ」が54%で最も多く、コト消費へのシフトが浮き彫りになっている。
ただ「コト消費」と言っても中身は二極化している。中国では「弾丸旅行」や話題の店や観光地に行き、映える写真を撮って自分のSNSにアップする「スタンプラリー旅行」がZ世代の新しい旅行スタイルとして定着しつつある。
同調査でも、限られた時間で多くの観光スポットを巡りたいとの回答が59%に達した一方、観光スポットを時間をかけて探索したいと答えた人も41%おり、好みがはっきり分かれた。
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