一方で、「函館塩ラーメン 五稜郭」や「塩そば 時空」といった塩ラーメンの名店が掲載されていることは、醤油ラーメン中心だったかつてのミシュランの評価からは変化を感じる。
全体の傾向を整理すれば、選定基準は「洗練された清湯」「整った店構え」「入りやすい雰囲気」に集約される。銀座の路面にある「はるちゃんラーメン」が選ばれたことは、その象徴だ。

観光資源としてのラーメン
新橋の雑多な裏路地を抜けてたどり着く店から、銀座の大通りに面した路面店へ。この変化は、ミシュランがラーメンを単なるローカルフードではなく、観光資源として世界に紹介することを意識している姿勢の表れといえる。
とはいえ、ここにはラーメン文化の一面しか映し出されていないことも事実だ。濃厚系、豚骨、二郎系といった大衆的な人気を誇るスタイルは依然としてガイドには登場しにくい。
強烈な個性やボリュームよりも、国際的に通じやすい端正な一杯が優先される構図は、観光ガイドとしての性格を考えれば理解できる一方で、ラーメンの多様性を語るには限界もある。

これからも清湯系を中心とする選出傾向は続くだろうが、その中で新しい技法や個性を示す店が現れれば、新たに星を得るラーメン店が登場する可能性も残されている。

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