上毛電鉄「自転車そのまま持ち込みOK」人気の秘密 「サイクルトレイン」2003年度開始から急拡大

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自転車の持ち込みが最も多いのは西桐生駅である。駅の付近に小学校や中学校、高校があるほか、JRの駅も近いことから流動人口が多い。通学時間帯は自転車の持ち込みができないため、休校期間中などの部活動などで、サイクルトレインを利用することが多いのだろう。実際、筆者も日差しの強い夏休み期間中に、多くの学生たちが車内に自転車を持ち込んでいる姿を何度か目撃している。

自転車の持ち込みの利用実績は、開始初年度の2003年度は463台(上り214台、下り249台)にすぎなかった。その後急速に増加し、2009年度は3万0374台(上り1万6252台、下り1万4122台)となった。また、2023年10月10日~12月22日まで実証運行を行い、下りの第3列車(中央前橋6時02分発)も搭載可能にするなど、搭載可能列車を拡大している。2024年度は4万0534台、1日平均で111人程度もの利用があるという。

上毛電気鉄道700形のサイクルトレイン(筆者撮影)

安全には十分な配慮が必要

しかし、自転車持ち込みの増加に合わせて、自転車を持ち込めない列車に持ち込みたいと問答になることが、たまにあるようだ。

また、電車の走行振動で自転車が倒れ、付近のほかの利用者に当たってしまい、思わぬけがをさせてしまうおそれがある。その場合の責任は持ち込み者となる。現状では、「2003年度からサイクルトレインを開始しているのでご利用方法が浸透しており、お客様同士を含めて、幸いにも大きなトラブルに発展することは発生していない」とのことだった。

自転車の持ち込みが原因で大きな事故が発生した場合には、それ以降サイクルトレインの運用が中止になってしまったり、制限されてしまったりすることも考えられる。それは利用者側にとっても、鉄道会社側にとっても不利益であり、望まない結果となってしまう。

上毛電気鉄道のサイクルトレインは、同社が地域利用者に寄り添った鉄道として、利用者との絆を守っていくために、行っている取り組みであろう。こういった取り組みが、より広がっていくことを願いたい。

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渡部 史絵 鉄道ジャーナリスト

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わたなべ・しえ / Shie Watanabe

2006年から活動。月刊誌「鉄道ファン」や「東洋経済オンライン」の連載をはじめ、書籍や新聞・テレビやラジオ等で鉄道の有用性や魅力を発信中。著書は多数あり『鉄道写真 ここで撮ってもいいですか』(オーム社)『鉄道なんでも日本初!』(天夢人)『超! 探求読本 誰も書かなかった東武鉄道』(河出書房新社)『地下鉄の駅はものすごい』(平凡社)『電車の進歩細見』(交通新聞社)『譲渡された鉄道車両』(東京堂出版)ほか。国土交通省・行政や大学、鉄道事業者にて講演活動等も多く行う。

 

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