AIブーム、あの古くて地味なハイテク企業の株価も急上昇-さすがにバブル化を警戒する声
人工知能(AI)への期待を追い風に米株式市場が上昇基調を続ける中、にわかに脚光を浴びているのは意外にも旧来型の地味なハイテク分野だ。
コンピューター用ハードディスクを手がけるシーゲイト・テクノロジー・ホールディングスの株価は年初来で156%高と、S&P500種株価指数構成銘柄の上昇率首位となっている。同社の競合ウエスタンデジタルは同137%高で3位に入った。メモリー半導体メーカーのマイクロン・テクノロジーは、12営業日続伸という記録的な値動きを経て年初来93%高となり、5位に食い込んだ。
「市場サイクルは最終局面に差し掛かっている」
強気派にとって、マーク・ザッカーバーグ氏やサム・アルトマン氏が生まれる前に設立された地味な企業の株価急伸は、AI需要の恩恵が幅広い事業に広がっている証しと映る。一方で弱気派には、株式市場全体の崩壊を予感させるバブル化の兆候に映っている。
「これはバブル期に典型的に見られる動きだ」と語るのは、ドットコム時代にトレーダーを務めたジョーンズトレーディングのチーフ市場ストラテジスト、マイケル・オルーク氏だ。「主力銘柄が割高になり、二番手や三番手の銘柄に物色が広がるとき、市場サイクルは最終局面に差し掛かっている」と同氏は指摘する。

対話型AI「ChatGPT」の登場でAIブームが起きてから約3年。関連技術を支えるインフラへの投資はなお続いている。マイクロソフトやアルファベットなど巨大ハイテク企業は、半導体やネットワーク機器、データセンターを稼働させる電力などに年間数百億ドル規模を投じ、大規模言語モデル(LLM)の訓練やAI処理を支えている。
こうした投資がエヌビディアや台湾積体電路製造(TSMC)といった半導体メーカーの成長を押し上げ、両社の時価総額は数兆ドル規模に達した。