AIブーム、あの古くて地味なハイテク企業の株価も急上昇-さすがにバブル化を警戒する声
一方、AIブームの波に乗る企業の中で、シーゲイトやウエスタン・デジタルは最も地味な存在といえる。ハードディスクドライブ(HDD)の起源は1950年代にさかのぼり、当時は容量5メガバイトで重量は900キログラムを超えていた。現在では、パソコンに搭載されるHDDは最大2テラバイトの容量を備え、重さも700グラム未満にまで小型化された。これらを手がける企業は、大量のデータを必要とするLLMモデルの訓練に不可欠となったストレージ技術の開発に注力している。
メモリー半導体も事情は同じだ。高帯域幅メモリー(HBM)をAI計算の不可欠な部材として供給するマイクロンでさえ、一般の投資家から大きな関心を集める存在ではない。
「電話でこうした銘柄の話をすると、相手が退屈しているのが伝わってくる」と語るのは、ボケ・キャピタル・パートナーズの創業者、キム・フォレスト氏。「人々は空飛ぶクルマや犬型ロボットの話をしたがる」と続けた。
過熱気味
元ソフトウエアエンジニアでもあるフォレスト氏は、メモリー市場における競争優位を理由にマイクロン株を保有している。ただ、AIを巡る現在の状況については過熱気味だと指摘。インターネットの普及と同様に、AIの具体的な活用も多くの人々の予想以上に時間を要するとみている。
もっとも、株式市場ではAIブームが地味な分野にまで及んでいる。
発電事業を手掛けるビストラは、2023年の66%高、24年の258%高に続き、今年も53%上昇している。半導体大手ブロードコムの株価は23年と24年にそれぞれ約2倍となった後、今年も49%高となり、時価総額は1兆6000億ドルに達した。
データベース事業で知られる老舗ソフトウエア企業のオラクルは、クラウド需要の拡大を背景にS&P500種の時価総額ランキングで10位に浮上。決算発表翌日の10日には株価が36%急騰し、予想株価収益率(PER)はドットコム期以来の水準に達してバブル懸念も広がった。

ウォール街はシーゲイト、ウエスタン・デジタル、マイクロンに強気姿勢を示している。ただ、株価の上昇が急速で、アナリストによる目標株価の引き上げが追いついていない。
一部のウォール街関係者は、こうした状況は投資家が利益確定に動く時期が近いことを示唆しているとみている。
著者:Jeran Wittenstein
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