夏場の電力需給逼迫解消に一助--新日鉄が君津共同火力を増強、第2高炉再稼働に合わせ6月にも稼働
国内高炉最大手の新日本製鉄は、君津製鉄所(千葉県君津市)内の火力発電事業である君津共同火力を増強。新設する6号機がこの6月に予定する本稼働に向け試験運転に入った。稼働すれば、発電能力は15%増え、115万キロワットとなる。
君津共同火力は新日鉄と東京電力の折半出資会社。現在、発電設備3基が稼働しており、発電能力の総量は100万キロワット。いずれも製鉄所の高炉やコークス炉、転炉から発生する副生ガスを燃料にして発電するもので、特に最も新しい5号機はコンバインドサイクル発電方式。副生ガスとガスタービンの排熱で発生させた蒸気を使う高効率発電設備で、同タイプとしては世界最大級のもの。新たに稼働する6号機は、規模は小さくなるが5号機と同じコンバインドサイクル発電。全体の発電効率も高まる。
副生ガスの主要発生源である高炉については、現在、君津製鉄所にある3基のうち、1基(第2高炉)は改修中。昨年12月に吹き止めし、400億円かけ炉容積を3273立方メートルから4500立方メートルに拡張、5月末に火入れを予定している。6号機もこれに合わせての稼働となりそうだ。
出資比率(50:50)見合いで新日鉄が半分、東京電力が半分を引き取る格好だが、稼働後の発電能力である115万キロワットは、廃炉が決まった福島第一原発の1号機が46万キロワットだったことを考えても存在感が大きい。夏場に逼迫が予想される電力需給の改善に向け期待されるところだ。
(写真は試験運転に入った君津共同火力の6号機、6月の稼働を目指している)
(山内 哲夫 =東洋経済オンライン)
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