残業代請求の「証拠集め」、2つの超重要項目 直接の命令がない場合も、残業代は発生する

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A.労働時間を示す証拠を残す

残業割増賃金を支払うことは、使用者の法的義務です。支払わない場合は刑罰を科せられます。残業をした以上は、割増賃金を請求できることは当然です。

上司から、「残業しろ」と命令されて残業した場合だけではありません。ノルマや納期があるために、残業をせざるをえなかったような場合も、残業割増賃金を請求できます。

ただ、ほかの誰もが残業割増賃金を請求しないのに、一人だけで請求すると、事実上不利益を受けることがあるでしょう。労働組合がある会社なら、まずは組合に相談してみましょう。

しかし、今は労働組合がないという職場も少なくありません。そうした場合でも、できれば、不利益を受けないよう一人で行動しないほうがよいでしょう。最終的には裁判という手段もありますが、その前に、労働基準監督署に相談するのも有効です。

有効な証拠と、むしろ不利になる証拠

証拠としては、まず労働時間を示すものを残しておきましょう。

スマホなどで、会社にある時計を写してから帰るということも有効です。LINEなど時間が機械的に記録されるもので家族に「これから帰宅する」と毎日送ることによって、手掛かりになることもあります。ログインやログアウトの時間がわかるよう、会社のパソコンのログも活用できるでしょう。

次に「仕事をしていた」という証拠が必要です。

報告書など、仕事の成果物やそのデータがあればよいですが、もしなければ、残業時間にどんな業務を行っていたのか、手帳に残した記録が有効になる場合もあります。

ところで、パソコンゲームなどをするとログに残ります。仕事をしていなかったという証拠になってしまいますから、注意してください。

※弁護士ドットコムの法律相談コーナー「みんなの法律相談」に寄せられた相談をもとに編集部が作成

土井 浩之(どい ひろゆき)弁護士
過労死弁護団に所属し、過労死等労災事件に注力。現在は、さらに自死問題や、離婚に伴う子どもの権利の問題にも、裁判所の内外で取り組む。東北学院大学法科大学院非常勤講師(労働法特論ほか)。
事務所名:土井法律事務所

 

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