若者は本当に「空気を読みすぎる」のか?…30年調査で判明した日本人に起こっている大変化

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
(撮影:今井康一)
近年「若者は空気を読みすぎる」「自己主張しない」と指摘されることがあります。しかし、30年分の時系列データを検証すると、その傾向は若者に限らず、親世代にもほぼ同じように見られることが明らかになりました。
博報堂のシンクタンクが、30年前と同じ設計で実施した「若者調査」をもとに、20歳前後のコアZ世代と、その親世代を比較分析した書籍『Z家族 データが示す「若者と親」の近すぎる関係』から一部抜粋・再構成してお届けします。

「だけじゃない」若者像 〜空気を読みすぎるのは若きも老いも〜

「若いってそういうこと」で語られることも多い一方で、実際にZ世代と接する方のなかには、「いやいや、最近の子たちの考え方は、自分が若いころとはまったく違うよ!」と感じている方も多いでしょう。お気持ちはよく分かります。

しかし、それは本当に若者に限った変化なのでしょうか。時系列データで検証すると、実は若者が「スケープゴート」にされている場合が少なくないことが分かります。つまり、本当は老若男女すべての人に起こっている「時代の変化」なのに、「最近の若者はけしからん」と若者だけが批判されている場合も多いのです。偏見だらけの若者論のなかでも、最も理不尽な言説といえます。

代表的なものが、Z世代についてよくいわれる「空気を読みすぎる」傾向。実際、2024年の調査では「相手と意見が違っても反論しない方だ」「合わない人と一緒にいることを避ける」「目立つ格好をすることは恥ずかしい」にイエスと答えた若者の割合は30年前に比べ大きく増えており、確かに若者は昔より空気を読むようになっているといえそうです。

では、自分を持たず、他人の目ばかり気にするようになったのは、果たして若者だけなのでしょうか。違います。この設問に49~52歳の回答結果を乗せてみると、現役の若者とほとんど差がないのです。つまり、令和においては若者世代もその上の親世代も「みんなで空気を読んでいる」ことが分かります。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事