ルネサスエレクトロニクスに迫る危機

トヨタ、日立へ出資要請、大連合の成れの果て 

 

ルネサスが証明 統合は問題の先送り

だが、こうした再編案は問題の先送りにしかならない。

まず、各社の製品の大部分は、用途や顧客で細分化されているため、規模の経済が働かない。各社が進めてきた工場差別化が足かせとなって、生産ラインも固定化されている。顧客への供給責任もあり、固定費を削減したくても、簡単には工場集約に踏み切れない。ルネサスは、今も余剰設備・人員に苦しんでいる。

しかも、「半導体は違った種類の製品で統合しようとすれば、すさまじいコストアップになる」(技術に詳しい専門家)。DRAMを造っていた広島工場をLSIのようなロジック半導体の工場に転換するのは簡単ではない。加えて、同じLSIでもルネサスの山形工場と富士通の三重工場ではプロセスに共通性が少ない。「工場の差別化に力を注いできたこともあって、自社以外、誰も使えないような特殊な工場になっている。古い世代のプロセスを一掃できる時期が来るまで統合は進められない」(同)との指摘もあるほどだ。

統合によって、ルネサスは国内の車載市場で約7割の圧倒的シェアを獲得するに至ったが、そのビジネスを失うリスクが高い。調達先の一社集中を嫌う自動車メーカーはルネサス以外の調達先を探し始めているからだ。米フリースケールのディビッド・ユーゼ日本法人社長は、「ルネサス統合後、当社へのアプローチが増えている。当初は具体的なビジネスにはつながらなかったが、震災をきっかけに日本の自動車メーカーとの商談が動き始めている」と語る。

「国が関与すると必要な改革が一段と先送りされることになる。革新機構のスキームは間違いなく失敗し、国民がツケを支払うことになる」(ザインエレクトロニクスの飯塚哲哉社長)との懸念が、早くも各方面で噴出し始めている。

(長谷川高宏、前田佳子、山田雄大 撮影:今井康一 =週刊東洋経済2012年4月21日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

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