子どもの遊びだった《ガチャガチャ》はなぜ大人を魅了する"体験消費"に進化した? 1400億円市場へ急成長する"商業施設の主役"の正体
今回インタビューにお答えいただいたのは、株式会社ルルアーク営業本部の本部長である、中川誠氏だ。

子ども向けから“誰でも楽しめる空間”への進化
中川さんによると、2017年に「ガチャガチャの森」が誕生した背景には、ガソリン代や人件費の高騰があった。それ以前はスーパーやゲームセンターの隅に数台を設置する“無人モデル”が主流だったが、商品を補充するために車で巡回するガソリン代や人件費などの経費がかさみ、採算の悪化に直面していた。
そこで、アミューズメント施設の運営で培ったノウハウを生かし、思い切って“有人の専門店”に挑戦することにしたのである。
「当時カプセルトイは子どもが遊ぶものというのが一般的で大人の方のご利用は少なく、売り上げが安定しませんでした。そこで、幅広い人に楽しんでもらえる店というコンセプトに切り替えました」
内装は木目調の明るい雰囲気にして、大人も入りやすい空間を意識。店頭には女性向けの商品を配置し、子ども向けは奥に置くなど、ディスプレイにも工夫を凝らした。結果的に幅広い客層が入りやすくなり、リピート利用が増加した。
現在は全国各地のイオンモールをはじめ、さまざまな商業施設へ「ガチャガチャの森」は広がっている。
「イオンモール宮崎に出店した際に、たまたま視察に来ていた他の商業施設の担当者が注目してくれました。そのイオンモール宮崎でうまくいったことをきっかけに、各地の商業施設から声をかけていただくようになりました。単なる隙間ビジネスではなく、商業施設にとっても集客力のあるテナントとして評価されるようになりました」

客層はショッピングモールではファミリー層が多く、繁華街では学生や若い女性が中心だという。男女比で見ると女性の比率がやや高く、特に“大人女子”の利用が増えているのが大きな特徴だそう。
実際に筆者が店舗を視察した際も、女性客が目立っていた。来店者は一つひとつのカプセルを見比べながら、どのガチャを回すか吟味していたのが印象的だ。
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