日米、5500億ドル基金でミニ「マールアラーゴ合意」の可能性 アメリカのシティグループの見方
日本が米国との関税合意の一環として設立した5500億ドル(約81兆円)規模の対米投資基金は、1兆3000億ドルに上る外貨準備を大幅に活用する可能性があるとの見方を米シティグループが示した。

シティグループ証券の通貨ストラテジストである高島修氏らはリポートで、日本の外貨準備を主に構成する米国債について、外貨準備を取り崩すことで米長期債利回りの上昇(価格は下落)につながる可能性があると指摘。このため、米国は日本に対し保有資産のデュレーション(平均残存期間)の延長を促すかもしれないとみている。
トランプ政権がドル高を是正し、米国の債務負担や貿易不均衡の是正を目指す多国間通貨の枠組み「マールアラーゴ合意」のような大転換を予測しているわけではないが、「2国間のミニ『マールアラーゴ合意』が形成される可能性はある」と高島氏らは分析。通貨政策の観点から「ドル安・円高方向へのバイアスが今後も続く」との見方を示した。
日本が保有する米国債のデュレーションは3-5年と推定される一方、日米間の関税協定における対米投資・融資の条件は 10-20年と予想されるという。
国内政治の不透明感や関税の影響で日本銀行の利上げパス(経路)が不透明になっており、最近の円相場は下落圧力にさらされ、直近3カ月間ではG10諸国の中で円のパフォーマンスは最悪だ。
トランプ米大統領は先週、日本との貿易協定を実施する大統領令に署名した。同協定には日本が5500億ドルの基金を設立するという約束も含まれているが、双方で異なる説明をしており、詳細については不透明だと市場ではみられている。

著者:グラス美亜
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