5.6mmの極薄iPhone Airのみならず、iPhone 17シリーズが国や地域別にeSIM専用端末となり、物理SIMスロットを完全に排除した理由

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一方のeSIMは、端末内部に組み込まれているため、物理的な方法で抜き取ることができない。端末のロックが解除されなければ、ほかの端末に転送することも難しくなる。その間に、キャリア側からeSIMを無効にすれば、不正利用はされづらい。セキュリティが高まるというのは、このようなことを意味する。

iPhone Air
極薄のiPhone Airは、全世界でSIMスロットが搭載されていない。ゆえに、SIMカードを抜き取ることもできない(筆者撮影)

日本ではあまりない事例かもしれないが、アメリカや欧州など、そこまで治安が悪いわけではない国や地域でも、スマホの盗難は多い。信号待ちをしているときに無理やりスマホを奪われたり、カフェでお茶をしているときに目を離したすきにテーブルの上のスマホを持っていかれたりなど、筆者の身近な人も被害を受けている。このようなときに、eSIMであれば回線そのものを乗っ取られるリスクが減る。

SIMカードとは違って、中に書き込む「プロファイル」と呼ばれる情報はネット経由で取得できるため、キャリアショップのような店頭に出向いたり、オンラインショップで申し込んだSIMカードが郵送されてきたりするのを待つ必要もない。回線を使い始めるまでのリードタイムが格段に短くなるのが、eSIMの2つ目のメリットだ。

eSIM
オンラインで申し込むことができ、そのまま利用を始められるのがeSIMの利点だ(画像:ドコモオンラインショップより)

また、場所から解放されるため、海外で使う海外の通信事業者が発行したeSIMのプロファイルを、日本でダウンロードするといったことも可能だ。これによって、海外旅行に出かける際に、あらかじめeSIMを設定しておけば、現地についたら即通信につなげられるようになる。この特徴を生かし、2018年に初のeSIM対応iPhoneである「iPhone XS」が発売されて以降、海外旅行用eSIMサービス事業者が続々と登場している。

高まる設計の自由度によって実現したiPhone Air

ここまで挙げてきた、セキュリティや時間、場所からの解放という2つのメリットは、直接ユーザーが享受できる恩恵と言えるだろう。ただ、これだけだと、アップルがiPhoneをあえてeSIM専用設計にした説明としてはやや弱い。端末からSIMカードスロットを排除するメリットは、メーカー側にもあるからだ。そして、その恩恵は間接的にユーザーが受けることもできる。

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