日立、V字回復後に襲った「息切れ感」 3000人削減の次に試される成長戦略

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すでに海外売上高比率が50%を超えた日立。次なる目標に何を置くか

下期の減速を受け、2017年3月期以降について、「日立は減益になるのではないか」との声も少なくない。それでも中村副社長は「2008年秋のリーマンショックのように、受注が蒸発しているわけではない。成長の伸びが遅くなっているだけ」と説明。すでに今期初めからは、採算が厳しい部門に対して、事業構造改革を実施している。上期には、情報・通信部門の通信事業を中心に2000人を削減。うち4分の3を社外へ転出させ、残りをグループ内で配置転換した。下期にも約1000人程度の削減を行う計画だ。人員対策を含めた構造改革を断行することで、今期は200億円、2017年3月期にはさらなる効果が出ると見込まれている。

厳しい状況の中、2017年3月期から2019年3月期に向けた、新たな3カ年の中期経営計画が策定される予定だ。決算発表翌日の10月29日、インタビューに応じた日立の中西宏明会長は、中計について、「利益を上げてお金儲けをして喜ぶのではなく、次の戦略を十分実行するに足る、利益水準をターゲットにする」と説明した。日立が目指す、社会インフラとITを組み合わせた「社会イノベーション」に向け、さらなるキャッシュを生み出す必要があることを強調した格好だ。

加えて、2016年3月期までに50%超を目標にしていた海外売上高比率については、上期で達成。次の目標について、「50%を超え始めると、経営ターゲットとして、海外売上高比率を上げるべきか疑問だ。例えば、IoT(モノのインターネット化)の売上高はボーダレス。どこからが日本の商売か分からなくなる。売上高がどこで立つかは意味がなくなってくる」と見通した。これまでとは違った観点での中計が提示されそうだ。

足元ではやや停滞感が出ている日立。合理化に頼るだけでなく、先を見据えた実現性ある成長戦略が問われている。

                        (撮影:今井康一)
 

富田 頌子 東洋経済 記者

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とみた しょうこ / Shoko Tomita

銀行を経て2014年東洋経済新報社入社。電機・家電量販店業界の担当記者や『週刊東洋経済』編集部を経験した後、「東洋経済オンライン」編集部へ。

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