東レを支える“繊維力” 斜陽事業が大復活!
「今の東レの強みは、過去80年以上にわたる繊維技術の蓄積にある。いくら成長できると思っても、合繊技術が生きなければ手を出さない」と日覺社長は言い切る。
技術だけではなく、東レに脈々と受け継がれるDNAも、長い冬を堪え忍んだ繊維事業により培ってきたものだ。「少なくとも5年、10年は我慢しないといけない。地道に我慢し続けることができるのが東レの社風」(日覺社長)。
鉄の代替品として期待が高まる炭素繊維はその最たるもの。71年に東レが事業化して以降、多くの企業が参入した。しかし、収益化が見込めないまま、事業から撤退する企業が相次いだ。投資先行で耐え続けた40年間を経て、航空機や自動車へと市場は一気に開花しようとしている。
もちろん、成長が期待される多くの市場には、化学メーカーなど異業種も参入する。繊維技術の蓄積で対抗できるか楽観はできない。
そうした中、炭素繊維ではボーイング社との、また今後急拡大が見込まれるタッチパネルやリチウムイオン電池のセパレーターではサムスンをはじめ、国内外の有力メーカーとの共同開発を進めている。非繊維事業でも川下企業との連携に勝機を見いだしていく作戦だ。
創業以来、こだわり続けた繊維技術を武器に、非繊維でも市場拡大を狙う。東レの“繊維”が再び成長産業といわれる日がやってきた。
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(鈴木良英 =週刊東洋経済2012年4月21日号)
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