PayPayが中国のウィーチャットペイと電撃提携!ライバル陣営と"掟破り"までして関係を築いた背景には業界構図の大変化

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

逆転の背景となったのが中国政府の介入だ。2021年から始まったIT企業規制の一環として、ITプラットフォームの囲い込みが問題視され、「互連互通」(企業間の相互提携)が提唱された。

その結果、2024年秋にはアリババグループのネットショッピングモールの決済ツールとして、ウィーチャットペイが使えるようになった。また、それまではメッセージアプリ「ウィジェット」では、アリババのECモールへのリンクが禁止されていたが、これも開放された。

政府介入はウィーチャットペイに追い風

双方にとってメリットのある取引ではあるものの、決済分野に限ればウィーチャットペイにとっての追い風となった。

第一に前述のとおり、利用習慣の面ではウィーチャットペイに分がある。普段使いの流れでウィーチャットペイを使うことが増えていく。また、ウィーチャットのつながりで送金できる点も便利だ。チャット画面から簡単に送金できる。アリペイでも相手の電話番号を入力したり、QRコードを表示してもらえたりすれば送金できるが、簡便さではウィーチャットペイに分がある。

これまではアリペイでなければ、アリババで買い物ができないことが大きなポイントであった。その差別化要因が消えたため、シェアが一気に傾いたというわけだ。

匿名を条件にコメントした決済業界関係者によると、提携交渉は昨年には始まっていた。ただ、PayPay社内には長年の同盟関係にあったアリペイとの関係から躊躇する声があり合意は遅れていた。

とはいえ、中国におけるウィーチャットペイのシェア拡大に加え、他の日本のモバイル決済大手もウィーチャットペイとの提携交渉が進められている。PayPayもついに決断することとなった。

次ページグローバル化するモバイル決済
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事