東京エレクトロン、後継者の実力は本物か 4~9月期決算説明会で起こった「変化」とは

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今期は前期と比較して、半導体製造装置世界首位、アプライド・マテリアルズとの経営統合(今年4月に破談)にかかる費用負担がない。そのため、7月に発表された4~9月期の業績予想では、営業利益率が15.8%(前年同期は10.2%)まで改善すると見込んでいた。しかし、フタを開けると、実績はそれを上回る18.0%。フラットパネルディスプレー事業の改善が進んだことに加え、工場の稼働率が想定以上に高く推移したためだ。

好決算を受けて、東京エレクトロンは通期の業績予想を上方修正した。売上高は従来予想比150億円増の6600億円、営業利益は同100億円増の1050億円だ。最終利益も従来の減益予想から一転し、増益を維持する形となった。

経営課題はさらなる収益改善

落ち込んでいた大手顧客による設備投資が、回復基調にあることを見込んだ修正だ。特にサーバーや、イメージセンサー向けの半導体需要が好調なことから、投資意欲が回復している。上方修正額の大半は、半導体製造装置事業の好調によるものだ。

収益性の改善が強調された今回の決算だったが、開発・製造の効率性を高めるオペレーションの強化は、河合氏を中心に取り組む課題の一つ。統合破談後の7月に発表した中期計画では、2020年3月期までに営業利益率20%~25%という「グローバル水準の収益力」を目指すとしている。

今回の好決算が事業環境の改善によるものか、あるいは河合氏の手腕によるものかどうかは、まだ判断がつかない。ただ、河合氏はさらなる体質強化に向けて「詳細は話せないが、6つほどの新プロジェクトを考えている」と明かす。後継者候補の実力が問われるのは、まさにこれからだ。
 

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