物価高に負けない「フィンランド鉄道旅」の醍醐味 1泊3000円台の宿、寝台車で白夜の北極圏までも

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長距離列車は「ユーレイルパス」のフィンランド版3日間のシニア料金141USD(2万1090円)を利用した。指定席券必須の列車は夜行列車だけなので、昼間は「ユーレイルパス」だけで全列車に乗車できる。

ただし、インターシティは原則全席指定席のようで、「ユーレイルパス」で空席に座っていると、指定席券所持の客がやってきて、座席移動しなければならないことが何度かあった。

フィンランド鉄道の軌間はロシアと同じ広軌(1524mm)であり、ヨーロッパの標準軌(1435mm)と異なる。ロシアのウクライナ侵攻以前にあったロシアのサンクトペテルブルクへの国際列車が運休の現在、フィンランドはヨーロッパでは数少ない国際列車のない国となった。

旅情満点の寝台車で北極圏へ

全体的には動力分散式の電車が多く、インターシティは客車列車主体ながら、機関車が引いたり押したりする。そんななか、必ず機関車が先頭となって客車を引く列車が夜行である。

夜行列車にはヘルシンキからラップランドに属するロバニエミ行きとケミヤルビ行き「サンタクロース・エクスプレス」、フィンランド最北駅のコラリ行きの1日3本がある。ドイツ製かスイス製電気機関車が寝台車、座席車、食堂車、車運車(マイカーを運ぶ)、合計15両以上の長編成となる。ヘルシンキ―コラリ間はフィンランドの鉄道最長区間で、808kmある。

2階建て、または重厚な雰囲気の客車で白夜の北極圏を目指すのは旅情満点であった。夜行列車が推進で行き止まりホームとなっているヘルシンキ中央駅に入線、この時点では車運車は連結されておらず、出発して10分ほどの貨物駅のようなところで車運車を連結する。

コラリ行きは、フィンランド中央のオウルで機関車を電気機関車からディーゼル電気機関車重連に付け替え、残り315kmの区間は北を目指す。この機関車は主に貨物用で、客車へ供給する電源設備がなく、オウルからは客車用の電源車を連結する。

設備は3段寝台だったが、寝台券購入時に1人しか利用がなく「個室」である旨が伝えられた。鍵もあり、荷物を残して食堂車に行くことも安心だった。「ユーレイルパス」を持っていても、寝台料金は115.5ユーロ(1万9991円)と高額だったが、利用価値は十分あった。

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