物価高に負けない「フィンランド鉄道旅」の醍醐味 1泊3000円台の宿、寝台車で白夜の北極圏までも

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

日本でも夜行列車復活の兆しがあるが、観光目的の特別な列車という位置付けのようだ。その点、フィンランドでは毎日運行の定期列車に長編成の夜行列車があるというのがいい。

電気機関車からディーゼル機関車にリレーされるところなどは、かつての日本の寝台特急ブルートレインにも相通じるところがあり、日本では消滅した夜行客車旅情が味わえた。

フィンランドの面積は日本の89%とほぼ同じであるが、日本はフィンランドの25倍の人口である。にもかかわらず、日本で定期夜行列車がほとんど成り立たないのはなぜだろう。賃金は日本のほうが安いことになっている。それに対し、運賃は日本とフィンランドで大きく異なるわけではない。つまり、運賃はフィンランドのほうが日本よりも割安なのだ。

日本でも販売方法の合理化などやり方を工夫することで夜行列車も少しは利益が出るのかもしれないが、新幹線の莫大な利益にかき消されてしまうのだろうと想像してしまう。この辺りが、筆者が積極的に海外の鉄道旅を好んでしまう大きな理由でもある。

日本人観光客が極めて多い

こんなフィンランドだが、ほかのヨーロッパとの違いがある。筆者はコロナ以降、ヨーロッパ渡航6回目だったが、どの国でも「すっかり日本人がいなくなった」と感じた。ところがヘルシンキで宿泊しているドミトリーには多くの日本人客が宿泊していた。

そこで日本人利用者に聞いてみた。「デンマークやノルウェーには日本人はいませんでしたが……」と。すると「フィンランドは別です。マリメッコ本社やタンペレにあるムーミン博物館は日本人だらけです」という答えが返ってきた。

確かにヘルシンキ中心街に多くあるマリメッコやムーミンの店舗周辺ではよく日本語を耳にした。

日本人に人気の理由はマリメッコとムーミンだけではなさそうで、治安の良さ、交通マナーの良さなども挙げられると感じた。街歩きがしやすいのである。海外では車優先で、歩行者用信号が青になるのはほんのわずかな間だけのことが多いが、フィンランドは歩行者用信号が青になっている時間のタイミングが日本とほぼ同じである。

この記事の画像を見る(69枚)
次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事