物価高に負けない「フィンランド鉄道旅」の醍醐味 1泊3000円台の宿、寝台車で白夜の北極圏までも

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切符は券売機で購入するが、バス停には券売機はない。コンビニで購入できるが、0.9ユーロのコンビニ発券時の手数料が加算される。カード乗車券はいつでも購入でき、利用する日に駅や車内にある機械にタッチすれば有効となる(アクティベイトという)。日本では鉄道の切符、バスの運賃、乗船券は別々だし、発売当日限り有効の場合が大半だが、フィンランドは交通局が一括運営しているので合理的でスマートだ。

ヘルシンキのトラム、路線バス、空港バスなどは24時間運行、深夜でも20~30分間隔の運行だ。近郊鉄道も終電が1時台、始発が4時台である。筆者は0時台に空港へ到着、鉄道で中央駅に2時頃に到着したが、公共交通でスムーズに宿に行くことができた。

日本~ヨーロッパ間の航空路は、ロシアのウクライナ侵攻以降、ロシア友好国以外の航空会社はロシア上空を通過できず、迂回を強いられている。所要時間が長くなり、ヨーロッパ各都市到着が深夜になるケースが増えているが、市内交通24時間運行は重宝する。

交通機関の24時間運行は治安の良さにも一役買っている。タクシーが深夜を理由に観光客に法外な料金を吹っ掛けるといった話も聞かない。深夜でも交通機関の目が行き届いているというのは大切と感じた。

5両編成でも1両が食堂車の「ゆとり」

昼間の長距離列車には普通電車とインターシティがあり、インターシティにはドイツ製やスイス製電気機関車が2階建て客車を引いたり押したりする列車(列車番号IC)とイタリア製振り子電車「ペンドリーノ」(フィンランドではS220型)の列車(列車番号HST)がある。S220型とは時速220キロ運転の意味だが、実際には時速200キロ以上の運転は行っていない。インターシティは5~6両編成にもかかわらず、1両が食堂車という編成に「ゆとり」を感じた。

インターシティ用2階建て客車に電話室がある。日本では「携帯電話での通話はデッキで」という習慣があるが、海外では座席でもかけ放題ということが多い。ところがフィンランドの車両には電話室があり、「通話は電話室で」ということになっていて、デスクまである。ご丁寧に空室の場合は緑の表示、鍵はないが、人が入ると感知して赤の表示に変わる。

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