中国では「不正受験ビジネス」が金儲けのゲームに、不正多発の影響を受けてアメリカではロースクールの遠隔入試が中止に

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「何千人という話ではない。せいぜい数百人程度だ」として、米国やカナダで組織的な不正があったという認識はないと話す。

「ただ、こうした事態が特定の地域から広がっていくという脅威は常に存在する」

カンニングの温床

標準試験における不正行為への懸念は、中国ではオンライン受験に移行する前からあり、LSATだけにとどまらない。ロイターが2016年に実施した調査では、米国の大学入試で標準的に用いられている適性試験「SAT」や、英語を母国語としない受験者向けの共通試験「ACT」、そして米大学の授業においても、中国人学生による組織的な不正行為の証拠が見つかっている。

試験セキュリティ会社「キャビオン」のスティーブ・アディコット最高執行責任者(COO)は、LSATを標的とした不正行為と同様の手口が他の標準入学試験や資格試験でも横行していると指摘する。

「一部地域では、業界に完全に寄生している」とアディコット氏は話す。「中国はまさにその温床だ」

またアディコット氏によると、何人もの人を雇って受験させて試験問題を暗記させ、それを編集して受験者に転売するケースもあるという。高解像度の隠しカメラを使って対面やオンラインでの試験を撮影するという事例もある。オンライン試験への移行後はさらに、受験者のパソコンを遠隔操作し、代わりに問題を解くこともできるようになっているという。「まるで軍拡競争だ」

中国本土では昨年、約500人がLSATを受験したという。LSAC広報担当者は同団体で受験者の国籍を記録しておらず、中国国外でLSATを受けた中国人受験者の数は提供できないとした。

個別指導の教育系企業「LSATアンプラグド」を経営するスティーブ・シュワルツ氏は、中国語サイトにアクセスできるのは中国在住の学生だけではない、と指摘する。

「中国での遠隔試験を中止するだけでは解決しない。問題の根本から絶つ必要がある」

LSACの広報は、LSATの不正行為が中国国外でも行われている「可能性はある」との見解を示し、「世界はかつてないほどに相互につながっている」と述べた。

データによると昨年、LSATで180点満点のうち175点以上を獲得した受験者の割合は42%近く増加したという。前述のキローラン氏はこの異常な高得点について、いわゆる「論理ゲーム」分野が廃止された影響が大きいだろうとしつつ、不正行為が一端を担った可能性もあると分析した。

今回、レディットで問題提起した中国人学生は、不正行為のせいで誠実な受験者が不利な立場に立たされていると懸念を示す。

「(試験が)金儲けのゲームになっている」

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