ロボホン9年の知見と最新LLMが生んだ3万9600円の手のひらロボット、シャープ「ポケとも」の挑戦
応答速度を重視した処理の使い分けも工夫している。「うん」「そうだね」といった相槌は、ローカル処理ですぐ返す。一方で記憶や状況理解など、メインのシステムはクラウド上で動作させる。相槌で「間」を埋めることで、クラウド処理による数秒程度の応答待ちを感じにくくしている。
3万9600円に込めた戦略的価格設定
ポケとものロボット本体価格3万9600円は、徹底した市場調査に基づいて決めた戦略的な数字だ。「お客様にコンセプトを提示したうえで金額調査を実施したところ、4万円を超えると厳しいという声が多かった」と景井氏は明かす。
ロボホンは多機能性を追求した結果、法人向け展開も視野に入れた価格帯になった。しかしポケともでは「会話に特化する」という明確な方針のもと、機能を絞り込んだ。SIMカードスロットは搭載せず、Wi-Fi接続に限定。スマートフォンアプリとの連携で機能不足を補う設計だ。

「スマホアプリでも会話できるので、SIMカードは必須ではないと判断しました」と景井氏。価格を抑える狙いもある。
この価格設定には、販路戦略も深く関わっている。「家電量販店だけでなく、おもちゃ量販店での展開も視野に入れています」と景井氏。従来のロボット製品とは異なる売り場での勝負を見据え、手に取りやすい価格帯にした。
ただし、持ち運んでの利用には制約もある。SIMカードは非搭載のため、外出先ではスマートフォンのテザリング機能が必要だ。完全に「どこでも会話」というわけではない。
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