ロボホン9年の知見と最新LLMが生んだ3万9600円の手のひらロボット、シャープ「ポケとも」の挑戦

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ロボホンは発売から9年が経った今も、濃厚なユーザーコミュニティがある。ただ、発売当初は課題もあった。「人がロボットと会話するときに『話す言葉がない』という状況が頻繁に起きたのです」と景井氏は振り返る。

ポケとも
ロボホンほど多様な動きはできないが、生成AIによる柔軟な会話応答に対応できる(筆者撮影)

そこでロボホンでは、ロボット側から積極的に話しかける仕組みを作った。しかし、より根本的な解決策として注目したのが「いつでも一緒にいられる」サイズ感だった。愛着を深めるには、対話の回数を増やすことが欠かせない。そのためには持ち運びやすさが重要になる。

ポケとも
持ち歩きやすいサイズ感を実現した(筆者撮影)

ポケとものサイズ設定は、この知見から導き出した答えだ。手のひらサイズの12センチ、重さ200グラム。ポケットに入れたり、カバンからぶら下げたりして「一緒にお出かけ」できる大きさにした。フロッキー加工による手触りへのこだわりも、物理的な愛着を深める工夫だ。

ポケとも
シルバニアファミリーシリーズを思わせるふかふかの表面加工も愛着を高めるための工夫だ(筆者撮影)

「Mixiの『Romi』など競合製品との差は、いつも持って歩けるサイズ感にあります」と景井氏は明言する。コミュニケーション機能では共通部分があっても、一緒に生活する時間の長さが愛着の醸成を左右するからだ。

記憶と共感で築く新しい関係

今回新たに開発したのが「エンパシー・インテリジェンス(共感知性)」という技術だ。会話履歴、プロフィール情報、GPS位置情報、センサー情報などを総合的に見て、ユーザーの状況や感情に寄り添った会話をする。なお、プライバシー配慮として、登録者以外の顔が認識された場合はプライベートな会話を控える機能も搭載している。

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