フーマーはなぜX会員店の全店閉鎖を決めたのか。小売業界が専門のあるアナリストは、財新記者の取材に対して次のような見方を示した。
「会員制倉庫型量販店の市場空間は大きいとは言えず、(省都クラスの)大都市でも1~2店舗の出店が限界だ。後発の中国勢が(コストコやサムズ・クラブなどの)外資ブランドに追いつくには、よりよい立地の選定や会員獲得など克服すべき課題が少なくない」

フーマーの厳筱磊CEO(最高経営責任者)は、2024年末に社員向けに送信したメッセージの中で、祖業である生鮮スーパー「盒馬鮮生(フーマー・フレッシュ)」および地域密着型のDS(ディスカウントストア)「盒馬NB(フーマー・ネーバー・ビジネス)」の2業態に経営資源を集中する方針を明らかにした。
生鮮スーパーと小型DSに集中
盒馬鮮生は中国全土の約50都市で展開しており、2025年3月末時点の店舗数は420店を超える。フーマーのGMV(流通取引総額)の6割超を稼ぐ大黒柱であり、今後さらに出店を強化していく。

一方、盒馬NBは(中国の景気減速による)個人消費のダウングレード志向に対応した小型DSの新業態だ。賞味期限間近の食品や包装が傷んだ商品などを近隣の盒馬鮮生の店舗から移したり、より多くのPB(プライベート・ブランド)商品を取り扱ったりすることで低価格を実現。現時点では上海市、江蘇省、浙江省の12都市に出店している。
2024年3月にCEOに就任した厳氏の経営改革を通じて、(赤字続きだった)フーマーの収益性は改善を見せつつある。アリババの決算報告書によれば、フーマーの2025年3月期の調整後EBITA(利払い・税引き・一部償却前利益)は通期で初の黒字に転じた。
会員制倉庫型量販店事業からの完全撤退により、フーマーが収益改善の流れを加速できるかが注目される。
(財新記者:包雲紅)
※原文の配信は8月5日
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