波乱の「切り餅」裁判、サトウ食品はなぜ負けた
ただ、サトウはつい最近まで知財の専門部署を置いておらず、創業以来一度も訴訟経験がなく法務部門も手薄。法務リスクに対してあまりにも鈍感だったことは否めない。
重大な意味を持つライバル2社の代表の陳述書について、越後代理人の末吉亙弁護士は「これまでの経緯に鑑みて真実とは認められない。必要に応じて司法手続きの中で反論していく」という。
上告審で高裁への差し戻しの決定が出て初めて、この陳述書も含め、日の目を見なかった大量の証拠が審理される。その日は来るのか。
■インタビュー■
「一貫して望んでいるのは和解」--越後製菓会長 山崎 彬
今回の判決は特許の本質を理解したすばらしい判決だと思う。提訴に踏み切ったのは、「当方の特許に抵触しているから、ライセンス料の支払い方法を提案してほしい」と問いかけたのにサトウ食品が判定請求(*特許侵害の可能性を特許庁が判断する手続き)を行ったからである。
中間判決後の損害額の引き上げは、提訴の後にも特許権の侵害が継続していたので、その期間分を追加したもの。当社が賠償請求のために裁判を継続しているとの誤解は非常に残念である。
現在も時間の経過とともに被害は拡大している。サトウは中間判決で侵害が明確に認定されたにもかかわらず製品の販売を継続していて、現在まで何の連絡もない。
弊社は最初から和解の道を探り続け、今も和解を望んでいる。しかしまったく応じてもらえる気配がないことは実に残念である。素直に侵害を認めて謝罪し、適正な方法で被害を償ってほしい。
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(ジャーナリスト:伊藤 歩 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2012年4月14日号)
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