大阪《副首都構想》で党勢回復を図るシナリオだが… 日本維新の会「連立入り」狙いの新体制に漂い始めた"暗雲"の正体

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なおかつ、菅氏は「ポスト石破」の有力候補とされる小泉進次郎農林水産相の“後見人”でもある。「今回、自民総裁選の前倒し実施が実現すれば、小泉新総裁の誕生が自公維連立政権へのカギとなる」との見方も少なくない。

ただ、維新の「東京組」を中心とする大阪以外の維新関係者の中には「副首都構想実現のための連立入りは維新の“大阪ローカル化”を進めるだけで、本来目指すべき『全国政党』の放棄にもつながりかねない」(元幹部)として、反発する向きもある。

確かに過去の政党史を振り返れば、「自民党にすり寄った政党は、ほとんどが数年で党崩壊により消滅した」(政治ジャーナリスト)のも事実だ。

冷め始めた「石破降ろし」の熱気

他方、自民党の「石破降ろし」も、ここにきて不透明感が増している。

12日に公表されたNHKの世論調査では、石破内閣を「支持する」は7月の調査より7ポイント上がって38%、「支持しない」は8ポイント下がって45%と、支持・不支持が一気に接近。さらに、石破首相が参院選敗北を受けて「政治空白をつくってはならない」と“続投宣言”したことについても、「賛成」49%、「反対」40%と賛否が逆転し、しかも自民党の支持層では「賛成」が69%で「反対」の23%を圧倒する結果となった。

これを受けて、自民党内からも「お盆明けには『石破降ろし』の熱気もある程度冷める可能性が出てきた。結果的に石破首相続投論を後押ししかねない」(無派閥の有力議員)との声も出始めている。

もちろん、「秋以降も石破政権が続く事態となれば、自公維連立構想は瓦解する」(維新幹部)ことは間違いない。それだけに、連立入りも視野に入れて新体制を発足させたばかりの維新にとって、「自民党内の8月末以降の動き次第では、改めて『全国政党か地域政党か、連立入りか否か』をめぐる党内論議が迷走し、さらなる党の弱体化につながる事態」(政治ジャーナリスト)も想定せざるをえない状況となっている。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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