大阪《副首都構想》で党勢回復を図るシナリオだが… 日本維新の会「連立入り」狙いの新体制に漂い始めた"暗雲"の正体

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同党は7月の参院選の選挙戦において、大躍進した国民民主党や参政党に圧倒された。その結果、野党内でも存在感が埋没し、獲得議席も伸び悩んだ。これを受けて、新体制発足時に吉村代表が「内部でごちゃごちゃするのではなく、一致団結して(党を)運営していく」、中司新幹事長も「党内融和が大事だ」と、それぞれ“挙党体制”の必要性と意義を強調した。

遠藤敬衆院議員
自民党に太いパイプを持つ遠藤敬衆院議員(写真:時事)

そこで、与党である自民・公明両党やほかの野党が注視するのが「少数与党政権下での新生維新の今後の立ち位置」(公明党幹部)だ。永田町では直ちに「維新は明らかに自公政権との連携による新たな政権の枠組みづくりを狙っている」(自民党長老)との受け止めが広がっている。

「自公維連立」を提案した橋下徹氏の真意

そもそも、維新の「連立入り」を提起したのは、同党の“創業者”で現在は政治コメンテーターとして活動している橋下徹元大阪市長だ。

参院選投開票直後の7月21日放送の関西テレビの番組で、今後の維新の進路について「吉村さんは『大阪を副首都にする』と掲げているから、(自公政権の)中に入って『その法案をやってくれるんだったら自公に全部賛成します』と打ち出して、思う存分やってほしい」と、「副首都」構想実現のための連立入りをぶち上げた。

この構想は、首都機能の一部を大阪に移転する案のことで、橋下氏が府知事時代から大阪での実現を唱えてきたものだ。大阪府・市は「東西二極の一極を担う副首都・大阪」を目指して、2016年に市役所内に共同で「副首都推進局」を設置。2023年には「副首都ビジョン」改定版を策定し、府市連携での国への働きかけを進めてきた。

唐突にも映った橋下氏の提案について、政界では「維新の求心力が失われている今、東京と違う、副首都としての大阪をアピールすることで『大阪ナショナリズム』をあおり、生き残りをかけるのが狙い」(閣僚経験者)との声が相次ぐ。

こうした橋下氏の提案や維新新体制の陣容も踏まえて、自民党内でも「自公維連立政権の実現による政権安定に前向きに取り組むべきだ」(党幹部)と、呼応する動きが台頭している。その中で注目されているのが、菅義偉元首相の動向だ。

菅氏は、橋下氏と並ぶ維新創業者の松井一郎元代表と親交が深く、石破政権で党副総裁に就任したことで、党内に強い影響力を保持しており、「維新の連立入りの後ろ盾ともなれる存在」(同)とみられているからだ。

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