「老人ホームに入れるのは親不孝?」「自宅で介護が当たり前?」ーー。いま一度考えたい親の「高齢者施設への入居」どうする問題

住み慣れた自宅がベストとは言い切れない
「住み慣れた我が家が一番いい」と考える人は、親世代だけでなく子ども世代にも多いかもしれません。でも、本当にそうでしょうか。
その家に住み始めたのが数十年前であれば、働き盛りの頃から住んでいる家が、高齢期にも住みやすいかは疑問です。部屋数は多く、数十年分のモノがあふれ、収納場所は使いにくく、段差や階段もあるでしょう。
消費者庁の調べによると、転倒事故の約半数は住み慣れた自宅で起きています。室内に変化はなくても住む人の体が動きにくくなっているので、今まで問題のなかった小さな段差や電気のコード、床の滑りやすさなどをかわすことができないのです。
ひとり暮らしの場合なら、救急車を呼ぶことさえできない場合もあります。
車がないと不便な場所に住まいがある場合には、外出の機会も急激に減るでしょう。親しいご近所さんだって同世代、接点は減り始めます。
コミュニケーションの減少は、認知症のリスクを高めるとも言われています。在宅のまま、ピンピンコロリで亡くなるのは確かに理想です。でもそれは、努力だけでなんとかなる問題ではありません。
私が見る限り、最期まで「住み慣れた家」で過ごせる人は、よほど運がいいか、子どもが負担を背負ってくれている人です。私たちはもうそろそろ、「住み慣れた家信仰」を手放してもいい時期です。
年齢に応じた住まい方を、改めて考えてもいいのではないでしょうか。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら