FRBが12月に利上げをすれば1ドル126円に BBHのマーク・チャンドラー氏に聞く

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縮小

――FRBが年内に利上げできたら、そのあとの正常化のペースは、どのようなものになりますか。

2016年は大統領選挙もあるので、非常にゆっくりしたペースになるだろう。FRBのバランスシートが縮小されることによる引き締め効果が生じることも、忘れてはならない。保有証券の償還により、来年は2000億ドル縮小する予定だ。利上げは、0.25%ずつ2016年は2回、2017年は3回と見ている。2017年でまだ1.5%ぐらいで、FFレートは最終的には2%〜2.5%程度まで引き上げられるとみているが、それは2018年頃になる。

日銀は10月に追加緩和を行わない

――BOE(イングランド銀行)、日本銀行、ECB(欧州中央銀行)の政策動向をどう予想していますか。

BOEはFRBの利上げの後に利上げするだろう。現在、完全雇用に近い状況になっている先進国は、米国、英国、ドイツ、日本だがこの中で、賃金が唯一上がっているのが英国だ。利上げの必要性は高い。年内に実施すると見る市場関係者もいるが、私は来年の5月と見ている。

日銀は10月に追加緩和に踏み切らないだろう。食品とエネルギーを除く物価の基調は加速している。景気は減速感が強まっているが、消費増税直後のような緊急性も感じられない。ただ、仮に10〜12月期のGDP(国内総生産)も含め3期連続のマイナス成長が懸念されるような状況になれば、来年1月に追加緩和を行う可能性は多少ある。

ECBは前回の理事会でスタッフによる経済見通しの下方修正もあったので、日銀よりも緩和の方向で合意がとれていると思う。どういう緩和がありうるかといえば、2016年の9月末までという期限を延長する、購入する資産の構成を変える、購入する資産の量を増やすなどが考えられる。ただし、現在の金融緩和政策にも否定的だったタカ派のドイツを説得する必要があるため、12月の実施はなく、来年まで待つ必要があるのではないか。

――2016年のドル円相場の見通しと、その他の通貨の見通しを教えてください。

ドル円はレンジが切り上がって、1ドル=116〜130円。116円を割るような円高はないだろう。ユーロはドルに対して歴史的な水準まで下落すると見ている。今年の年末は1ユーロ=1.08ドルぐらいだが、来年は1ユーロ=0.90〜1.05ドル程度までユーロは下落すると見ている。

その後もユーロは対ドルで下落を続け、過去最安値の1ユーロ=0.82を割り込むことも考えられる。新興国通貨は全般に下落トレンドだ。米国の利上げ、商品市況の低迷、中国経済の弱さに加え、新興国通貨はドルを調達して買われているため、アンワインド(巻き戻し)が中長期的に続くことも新興国通貨の下押し要因となる。

大崎 明子 東洋経済 編集委員

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おおさき あきこ / Akiko Osaki

早稲田大学政治経済学部卒。1985年東洋経済新報社入社。機械、精密機器業界などを担当後、関西支社でバブルのピークと崩壊に遇い不動産市場を取材。その後、『週刊東洋経済』編集部、『オール投資』編集部、証券・保険・銀行業界の担当を経て『金融ビジネス』編集長。一橋大学大学院国際企業戦略研究科(経営法務)修士。現在は、金融市場全般と地方銀行をウォッチする一方、マクロ経済を担当。

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