時間切れのマック改革、誰が再建を担うのか 元幹部の出戻りが、さまざまな憶測を呼ぶ
それでも一度失った顧客は戻ってこない。チキンナゲットを調達していた中国の食肉加工会社が使用期限切れの食材を使っていたことが2014年7月に発覚。今年1月には全国各地の店舗で異物混入が報道され、既存店客数は記録的な低水準となっている。
「新・おてごろ宣言」は、実質は値上げ?
ここにきて経営改革の迷走も目立つ。10月15日、カサノバ社長は「新・おてごろ宣言」と題して、200円と値頃な新商品を導入。同時に、2007年に導入した地域別価格制を廃止し、全国一律の価格にすることで、客足を呼び戻す方針を示した。
ただ、地域別価格制の廃止は、割安だった地方の販売価格を東京など都市部の価格に合わせる点に狙いがある。値引きしていた昼のランチセットの販売も終了するため、実質的には結構な値上げだ。
店舗戦略も停滞している。通常の出退店とは別に、今後の成長が見込めない131店について、今年中の閉鎖を計画。が、6月までに、1店の閉鎖も実現できなかった。
その理由について会社側は「不動産所有者やFCオーナーとの協議にある程度時間がかかる」(財務本部の増田雄高・上席部長)と説明するが、「閉鎖に時間もカネもかかるのは当たり前。カサノバ社長の見切り発車だったのではないか」と、店舗開発に詳しい元社員は推測する。
これまでの改革についてカサノバ社長は「お客様は店に戻ってきている。改革の方向は間違っていない」と断言するが、就任以来、既存店客数は一度も前年同月を上回ったことがない。
「もはや“死に体”」(元社員)のカサノバ社長に代わって、従業員やFCオーナーの期待を一身に集めるのが、冒頭の幹部の前に復帰した下平篤雄副社長だ。
下平氏は2005〜2007年に役員を務め、2009年から大手FCに転籍していた。現場のたたき上げである点とFCでの経験を見込まれて、今年1月に本社へ復帰。3月からは副社長として、店舗運営など営業部門を統括している。