未婚化、少子化、そして地方創生… 日本が抱える大体の大問題は「県人会」を活用すれば解決できる
ここでは、発言が理屈だけで直接否定されたり、罰せられたりすることはほとんどない。ハーバード・ビジネス・スクールのエイミー・C・エドモンドソン教授が提唱する心理的安全性(Psychological safety)が保たれた環境といえるだろう。この心理的安全性は、チームが学び、いい結果を出すうえでとても大切だとされている。
最近、日本に住む中国人が増えていることが話題になっている。2015年12月末時点で約69.7万人だった在日中国人は、2024年6月末時点では約83.8万人になった(出入国在留管理庁「在留外国人統計」各年)。
一番多いのが東京都だ。都内には在日中国人ソサエティーができていて、中国語だけで日常生活が成り立つまでになっている。
この「東京の中の中国」とは異なり、「東京の中の地方」はあくまで日本国内の文化や習慣を前提とした集まりであり、自分たちだけの閉鎖的なものではない。そして「東京の中の地方」を積極的に活用することで、未婚化、少子化を食い止める一助になる可能性がある。同じ故郷の人々との出会いは、より深い感情的なつながりを築きやすくするからだ。
方言の力が「恋の暗黙知」の共有に効果大
共通の背景があり、なんといっても「感情言語」である方言で話し合えるのが強みである。「恋の暗黙知」を共有するうえで、標準語で伝えにくい感情の機微を表現・理解できる効果は絶大だ。
逆に、地元では通じた冗談が通じなかった、笑わせようと思って言ったつもりなのに、相手を怒らせてしまったといった経験を語る地方出身者は少なくない。東京人と大阪人の味覚が異なるように、笑いのツボも違うからだろう。
ましてや、日本の中の「合衆国」である東京は、あうんの呼吸で通じ合える暗黙知が地方に比べて少ないという点も、話下手の地方出身者が東京で異性と付き合うと、「友達以上、恋人以下」であり続ける原因の1つになっていると思われる。
「ここから出たかった」人たちにとっては、「東京の中の地方」はかえって目障りで関わりたくない存在かもしれない。だが、そのような人たちでさえ、故郷の味に懐かしさを感じ、郷土料理店へ自ら足を運ぶことがある。
かつて自分を見下した地方の上下関係には嫌な気持ちを抱きながらも、故郷の香り自体を否定しているわけではない。この心の奥に潜む思いをうまく捉えて、男女の縁を生じさせる可能性もある。それは、「故郷から出たかった」人同士の東京での出会いだ。
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