貨物列車「車軸折損」少しずつ見えてきた事故原因 輪軸組立作業の不正行為は折損とは無関係だった

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一連の発表に接して筆者は、圧入力の基準値超過と車軸折損の因果関係に疑問を抱いた。

圧入力が下回って車軸が折れることはあるが、上回って折れることは考えにくい。もちろん、不正行為が許されないのは論をまたないが、その因果関係を明らかにしない限り再発防止にはつながらない。

今回発表された「経過報告」により、車軸が折れたのは車輪圧入部ではなく、直接の因果関係はないことが明らかになった。

以下に「経過報告」に沿ってその内容を解説するが、「経過報告」そのものの内容をご覧になりたい方は、運輸安全委員会のHPにアクセスすれば、本文と説明資料をダウンロードすることが可能である。

車軸折損箇所は大歯車圧入部で破断面はほぼ垂直(運輸安全委員会 経過報告より)
車軸折損箇所は大歯車圧入部で破断面はほぼ垂直(運輸安全委員会 経過報告より)
輪軸断面図で示す車軸折損箇所(運輸安全委員会 経過報告の図を左右反転して加筆)

経過報告で判明した重要な事実

まず、車軸が折れたのは大歯車の圧入部で、破断面はほぼ垂直である。「経過報告」に記された主な事実情報を箇条書きにすると、以下の通りである。

1. 機関車の第1軸は折損しており、大歯車の圧入座において破断していた。
2. 車軸の大歯車圧入座は、製造時に高周波焼入れされていた。
3. 第1軸を分解、大歯車を切削除去し、厚さ20mm程度残したボスを割断して車軸から取り外したところ、当該部位の軸表面及び大歯車ボス内面には、圧入方向の顕著なひっかき傷(かじり)が認められた。また、軸表面には、破面から5~10mm程度の範囲で黒色の付着物が認められた。
4. 第1軸の大歯車圧入作業時の記録のうち、圧入力に関するデータは、過去に作業した他の軸のデータに差し替えらえており、元のデータは残されていなかった。
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