こうしたストレスを、児童たちは暴力的な言動で発散しているのではないかと篠原さんは話す。実際、文部科学省の調査によれば、国立小における暴力行為や器物損壊の発生率は公立・私立よりも高い。
「令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によれば、1000人当たりの暴力行為発生件数は公立が11.4件、私立が7.3件なのに対して、国立小が33.4件。発生学校数の割合は公立が39.0%、私立が35.9%なのに対して、国立小は58.3%だ。


(注)「暴力行為」の考え方、調査対象については同上。発生件数は延べ数、加害児童生徒数は実数
「最近、『教育虐待』という言葉がよく使われるようになってきましたが、私の勤務校にいた子どもたちは、その犠牲者だと思います。親が子どもを思いどおりに育てようとして過干渉になった結果、深く傷つけられているように見えました」
「やめないで」と引き止められるも、退職を決意
篠原さんと子どもたちの関係は、交換ノートのやりとりを続ける中で着実に変わっていった。強いネガティブな言葉を書き殴っていた児童は、徐々に落ち着いた筆跡で胸の内を明かすようになったという。篠原さんを呼び捨てにしていた児童は、半年以上のやりとりを経て「今まで、学校の不満や嫌なことを相談できる人がいなかったけど、このノートのおかげで正直に言えるようになった」と綴ったという。