「推しキャラが耳元で囁いてくれる」アニメ声優“コラボイヤホン”の魅力とは?裾野広げる《声優ビジネス》の参入障壁、展望をキーマンに聞く

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ーーそうした関係値が築けたことには、きっかけや秘訣があったのでしょうか。

内田 AVIOTさんと長期的なスパン、考え方でご一緒できたことが大きかったと思います。番組コラボイヤホンは、協賛いただく際に、最初から作りましょうという話があったわけではなくて、番組での展開が始まって半年後ぐらいに話が出てきたんです。

それまでの間に番組内での展開も、単純に製品の宣伝というよりリスナーもパーソナリティも楽しめるコーナーとして盛り上がっていきました。そんな中で、コーナーを支えていただいている会社から番組とコラボした商品を出しますよとなったので、番組を応援する気持ちで購入してくださったリスナーも多かったのではないかと思います。

井上 確かに、いきなり協賛します!イヤホン作ります!だったらあんなに売れなかったと思います。

アニメファンや声優ファンは、コラボレーションや広告起用をする企業が、本当にそのコンテンツを愛しているのかを気にされる方が多いように思います。なので最初はあくまで、一緒にみんなの推しを応援しているブランドという形で関わらせていただきました。

もちろん、もともと素晴らしい演者さんや温かいファンを持つ番組だったこと、スタッフの皆さんがいろいろと努力をしてくださったことも大きいです。だからこそコーナーも面白い形になっていき、それがコラボイヤホンの成功にも結び付いたと思っています。

声優の海外展開を応援したい

ーー異なる業種の企業とコラボすることで、それぞれの事業に広がりはありましたか。

井上 弊社はいわばデバイス側、内田さんはコンテンツ側の会社なんですが、一緒にやってきて、それぞれが別の新しいパートナーともご縁が広がったところはありました。

内田 そうですね。弊社の方では声優アワードで、今年は新たにタニタさんも協賛で入っていただけて、主演声優賞の関俊彦さん、岡咲美保さんのお二人の声が入った音声体組成計を出すことになりました。

井上 私の方では、『広瀬裕也と宮本侑芽のとりあえずUNISON』という番組をスポンサー兼プロデューサーとして立ち上げさせていただきました。

これは弊社のコラボイヤホンの中でも特に人気が高かった『グリッドマン ユニバース』のアニラジの流れを汲む番組で、もともとは作品の展開終了と共に最終回を迎えていたところを、AVIOTが軸となって後継番組を立ち上げた形となります。

今後はそうしたノウハウを、声優業界だけではなく、イヤホンを沢山買ってくださったファンの方への恩返しにもつなげていきたいです。

ーー声優ビジネスが持つ可能性や今後の展望について、どのように考えていますか。

内田 アニメ・ゲーム・コミックなどのIP業界の中で、声優ラジオというのはフットワークが軽く柔軟性が高いコンテンツ、媒体だと思っています。

作品単位や声優さん個人で動くのが難しくてもラジオ番組という単位であればコラボやイベントなども展開しやすいと思いますし、結果的に作品ファンの方にもリーチすることができます。

ただ、まだ業界の外で、そのパワー、価値が周知されていないところもあるので、その意味では、ビジネス面でもまだまだ広げていける可能性を持っていると思います。

井上 今後の展望としては、やっぱり声優さんの海外展開をもっと応援したいですね。

弊社はコラボイヤホンの認知拡大のため、海外のアニメイベントへの出展も精力的に行っているのですが、海外ファンは声優さんに会えるのがレアな分熱量も高くて、日本より高価なファンミーティングのチケットが即完売するような事例もみてきました。

言語は違っても、それくらい海外にも需要はあるので、そのことを国内外のファンにきちんと発信していくお手伝いも一緒にできればと考えていますし、それがひいては弊社の商品の売上拡大につながると思っています。

【もっと読む】「声優人気」の光と影 アニメ”大ブーム”で露出増加の一方、”週刊誌報道の標的”にも では、アニメコラムニストの小新井涼氏が、現在の声優人気のきっかけやそれに伴う脅威について詳細に解説している。
小新井 涼 アニメコラムニスト

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こあらい りょう / Ryo Koarai

アニメコラムニスト。北海道大学観光学高等研究センター研究員。博士(観光学)。 KDエンタテインメント所属。 毎週約100本以上の全アニメを視聴し、全番組の感想をブログに掲載する活動を10年以上継続中。様々な媒体へのコラムの寄稿や番組へのコメンテーター出演をする傍ら、学術的な観点からもアニメに関する研究をしている。近年はその知見を活かし、クランチロール・アニメアワードや声優アワードで審査員や選考委員も務める。著書に「鬼滅フィーバーはなぜ起こったか? データで読み解くヒットの理由」(インプレス)。

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