アマゾン、カラー電子ペーパー搭載ブックリーダー「Kindle Colorsoft」日本発売へ。目に優しいカラー表現を実現した端末の価値とは

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東北大学応用認知神経科学センター助教の榊浩平氏は、この調査結果について脳科学の視点から次のように解説する。「通知は集中力を低下させます。人間の脳が一度に集中できる量には限りがあり、通知のたびに意図せず注意がそれ、元の作業に注意を戻すのに余計な時間と労力がかかります」。

特に読書への影響が大きい理由について、榊氏は「テレビや音楽と違って、読書は目で文字を追い、内容を理解し、想像するなど、能動的で深い集中を必要とします。だからこそ、通知による中断は思考の流れを断ち切り、本の世界へ没入することを難しくします」と指摘する。

通知のない専用端末であるKindleは、まさにこの問題に対する一つの解答といえる。宮澤氏も「Kindleを選んだ理由として『読書に集中できる』という声を多くいただいている」と話す。

新たな読書体験の始まり

電子書籍リーダー市場に本命が参入したことで、カラー電子ペーパーの普及が加速することは間違いない。これまでスマートフォンやタブレットの液晶画面で読まれてきたカラーマンガが、ついに目に優しい電子ペーパーでも楽しめるようになった。

Kindleの3機種
通常版、上位版のシグニチャーエディション、キッズ向けモデルの3機種を展開する(筆者撮影)

Kindle Colorsoftの登場は、長時間の読書でも目が疲れにくく、通知に邪魔されることなく、紙の本に近い質感でカラーマンガを楽しめる新たな選択肢となる。液晶画面での読書に疲れを感じていた読者や、電子書籍の利便性は欲しいが紙の質感も大切にしたい読者にとって、待望の製品といえるだろう。

価格は3万9980円からと決して安くはない。しかし、マンガを大量に読む人にとって、目の疲れを軽減し、通知に邪魔されない読書環境は、その価格に見合う価値があるだろう。2012年の日本参入から13年、Amazonはついに日本のマンガ読者が本当に求めていた製品を投入した。

石井 徹 モバイル・ITライター

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いしい とおる / Toru Ishii

1990年生まれ。神奈川県出身。専修大学法学部卒業。携帯電話専門媒体で記者としてのキャリアをスタート。フリーランス転身後、スマートフォン、AI、自動運転など最新テクノロジーの動向を幅広く取材している。Xアカウント:@ishiit_aroka

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