薬局で買える抗肥満薬に「痩せる効果」はどれぐらいあるのか?「食欲を抑える」「脂肪の燃焼を促進する」「代謝を上げる」と書かれたサプリを飲む前に知っておくべき真実

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2024年、ある製薬会社が製造した健康食品を摂取した人たちが、おもに腎臓の病気を発症して、484人が入院し、数名が死亡する事件が起こりました。被害者の人数は、今後さらに増えるおそれがあります。

この健康食品は、「悪玉コレステロールを下げる」サプリメントでした。

厚生労働省は、製品の製造過程で青カビが混入して、プベルル酸という物質が発生し、これが健康被害をもたらしたと発表しています。

国の審査を受けない「機能性表示食品」

この事件が製薬会社にとどまらず、行政に対する信頼までゆるがすことになったのは、この製品が機能性表示食品だったからです。

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機能性表示食品は、特定保健用食品(いわゆるトクホ)の認定には時間と費用がかかることから、メーカーの負担を軽くするため、2015年にできた制度です。国の審査はありません。

特定保健用食品とか機能性表示食品と聞くと、薬ほどではないにしても、有効で安全そうな印象を受けます。

しかし、トクホですら、過去に許可が取り消された例があります。機能性表示食品となれば、メーカーの宣伝や、口コミをそのまま信じるのは危険と言わざるをえません。

サプリメントは特定の成分が濃縮されて入っているため、食品で摂取した場合より、強い症状が出やすいという問題もあります。

世界120カ国以上で販売されている抗肥満薬の承認が、日本で遅れたのは、「これさえ飲めば、内臓脂肪や腹囲が減少する」という誤解が広がるのではないかと、厚生労働省が懸念したからでした。そのとおりです。

ダイエットの旅路は長く、ときに不安になるものですが、どこへ続くか、はっきりしない脇道にまどわされることなく、地図を見ながら、確かな道を進んでいきましょう。

奥田 昌子 医学博士/内科医

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おくだ まさこ / Masako Okuda

京都大学大学院医学研究科修了。京都大学博士(医学)。博士課程にて基礎研究に従事。生命とは何か、健康とは何かを考えるなかで予防医学の理念にひかれ、健診ならびに人間ドック実施機関でのべ30万人以上の診察/診療にあたる。航空会社産業医を兼務し、ストレス対応を含む総合診療を続けている。著書に『これをやめれば痩せられる』(東洋経済新報社)、『欧米人とはこんなに違った 日本人の「体質」』(講談社ブルーバックス)、『内臓脂肪を最速で落とす』(幻冬舎新書)などがある。

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